最愛は、君で。

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「なんで付いてくるんですか！？」


「なんでって 帰り道やからな」



どうしてこうなったのか。

わたしの歩く少し後ろにはなぜか河井さんがいる。



確か、河井さんには伝言をお願いしたはずだったのに。






でもこれじゃあ、まるで…



「…ふたりで飲み会を抜けてきたみたい」


「なんかいうた？」


「べつに…！」





でもなんとなくわかっていた。



「お前さ、あれからまた賢ちゃんとなんかあった？」



ほら、やっぱり。


つい歩いていた足を止めてしまった。





わたしが止まると、後ろを歩いていた足音も止まる。





いつだって河井さんは私のことをお見通しだ。


賢ちゃんと付き合ったときも、喧嘩したときも、そして浮気したときも…、私の異変にいち早く気づくのはいつも河井さんだった。




だから、わたしは



「なんで、いつも気づくの…」

「気づかれたくなかったらもっとうまく隠せよ」



甘えてしまう。



後ろから抱きしめられたこの温もりが、この優しさが、賢ちゃんがくれるものならよかったのに、なんて最低な気持ちを捨てきれないまま。


河井さんが傷付いていることなんて知らずに。



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