020〔side:川西〕 ページ21
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「なにやってんねやろ、俺」
スタッフさんのあとを追うようにAと別れた俺は、年上やのに大人気なく、余裕がない醜態を晒してしまった自分に嫌気がさす。
自分のしたことを棚にあげるつもりはない。
でもAから漂う不穏な雰囲気とか焦った態度に手を伸ばさずにはいられへんかった。
『賢ちゃん行かなくて平気?』
そう言いながら俺のいる方とは反対側へ振り返った彼女のなびいた髪からは、いつもとは違うシャンプーの匂いがした。
言葉よりも先に手が彼女を引き止めた。
まさか、Aに限って。
そんな最悪が一瞬頭によぎったものの、これだけじゃあ何も言えなくてただただモヤモヤに取り残された。
そんなことを考えては心にしまい、出番やなんて言っておきながら連れ戻された楽屋の扉を開ける。
「おー 賢ちゃん遅かったなぁ」
てっきりみんなおるもんと思って入った楽屋にはゆずるしかおらず、俺の声に携帯からこちらへと視線を移したゆずると目が合った。
ゆずるから放たれた遅かったの言葉にどんな意味があるのかはわからない、でも今の俺にとってはどれも意味深に聞こえてしまう。
「……まぁな」
「なんかあった?」
俺の様子を見て知ってか知らずかそう聞いてくるゆずるに、腹立たしい気持ちが一気に込み上げる。
「……別になんもないよ」
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みたらし(プロフ) - ゆずさん» ゆずさんはじめまして、この度は数ある作品の中から目を通していただきありがとうございます!感想とっても嬉しいです( *´ω`* ) 早く続きをかけるよう努力いたします、温かいお言葉ありがとうございます! (2019年9月17日 23時) (レス) id: d1fa9ff20a (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 初めまして!今日一気に読んできました!本当にその情景が浮かんできて、スクロールする手が止まらなかったです!更新楽しみにしてます! (2019年9月16日 15時) (レス) id: a5f5480ecc (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - はい!ありがとうございます!楽しみにしてます! (2018年6月28日 22時) (レス) id: 0344a2b415 (このIDを非表示/違反報告)
みたらし(プロフ) - あやのさん» あやのさんはじめまして、コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ そう言っていただけてとっても嬉しいです、これからもゆっくりかと思いますが更新していきたいと思ってます…! (2018年6月28日 19時) (レス) id: bb2f12d2fb (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - このお話大好きです!更新楽しみにしてます! (2018年6月26日 0時) (レス) id: 0344a2b415 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みたらし | 作成日時:2018年4月7日 22時