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「あー、死ぬー」
楽屋に戻ってばったりと倒れ込むと
あとからぞろぞろと楽屋に入ってきたメンバーに
色々言われた。
全員、俺が飛ばしてたのを分かってたみたいで
いくら彼女が居たからって張り切り過ぎって
多少の冷やかしを交えながらも心配してくれた。
「あー、ねえ、あれ取って・・・」
すぐスタジアムライブだし、
喉だけはしっかりケアしとかないと。
そう思ったけど起き上がる気力はまるでなくて、
アイシングを取ってもらって喉に充てると、
スマホが着信を告げた。
画面を見ればAちゃんからで、
さっきまでは起き上がれないって思ってたのに
この時は、ここぞとばかりにガバッと体を起こした。
「まーくん!掛かってきた!」
「・・・良かっ「もしもしAちゃん!?」
心配してくれたまーくんにまずは報告って思ったんだけど
喧嘩したまま切っちゃったし、
やっと掛かってきたことが嬉しくて
まーくんの言葉を最後まで待ちきれずに
途中で電話に出てしまった。
『洋平さん、
今日めちゃくちゃかっこ良かったです!』
電話の向こうのAちゃんは喧嘩してたのを
忘れたかのように、上機嫌になっていて。
まあ、ライブを見てくれてた時の顔を見れば
一目瞭然だけど。
「ふはっ、ありがと。それより怪我しなかった?
飲み込まれてったでしょ?」
『あー、見てたんですか?大丈夫です。
青アザくらいは出来てそうですけど』
「俺、心配だったんだよ。
だから前来んなとか言っちゃったけどさ」
折り返しの電話が無いことにヤキモキしてたけど
逆にライブを挟んで良かったかもしれない。
いつもなら意地張ったりしちゃうけど、
こうやって素直にちゃんと謝りやすいし。
『そうなんですか?
それならそういう風に言ってくださいよー』
そんな風にAちゃんと仲良く話していると
ちらっと横目の視界にまーくんが入ってきて。
その顔は、
うーわ、めっちゃ冷めた顔してこっち見てる。
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作者名:叢雲 | 作成日時:2018年9月1日 0時