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*
そんな一波乱があってライブも中盤を過ぎた頃、
今度は演奏中にヒロがやたらと俺の方を見てくる。
なんだよ、落ち着きないな。
なにかトラブル？
そう思ってアイコンタクトすると、
ヒロがくいっと顎を動かして客席を指した。
俺が目線を移すと、
いつの間にかヒロの前を陣取っていた
Aちゃんとがっつり目が合った。
それに気付いて彼女が嬉しそうに笑みをこぼす。
うーわ、今すげえ目が合ったよ。
Aちゃんがライブでこんな近くまで来てたことって今までなくて、
こうもしっかり目が合っちゃうとなんとなく
照れくさいっちゅうか、恥ずかしいっちゅうか。
でも嬉しそうに笑ってくれたAちゃんは
めちゃくちゃ可愛くて、
俺もついついかっこいいとこ見せたい！なんて
思っちゃって。
こういう仕事だし、
見てる人にかっこいいって思ってもらわなきゃ
意味ないの分かってるから、
ステージ上ではいつもかっこつけて演ってるんだけど。
Aちゃんが居るから
今日はいつも以上にギタープレイにも熱が入って
歌声も張り上げたし、
客席への煽りも最高潮になった。
ふっは。
これ、ちょっとヤバイかも。
本編を終えて、
ステージ袖に戻ったら急に足から力が抜けた。
ステージを捌けるまで
なんとか気ぃ張って歩いたけど
その後は、ふにゃふにゃと足から力が抜けて
倒れるように近くの椅子へと座り込んだ。
あー、ちょっと張り切り過ぎたかな。
俺、体力には自信あるほうなんだけど。
「飛ばし過ぎだよ。」
そんな俺にまーくんが声を掛けてきてくれた。
*
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
