検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:87,276 hit

- 06. ページ7

*





ステージに上がればそこからはいつも通り
しっかり集中できて、
Aちゃんから電話がなかったという事実も
すっかり忘れかけていた。




すげえ笑顔でステージを見てくれてる子とか
俺らの音楽に乗って飛び跳ねてる奴とか


とにかく客席はみんな楽しそうで、
今日も良いステージになるって確信した。




ノリのいい激しめの曲のイントロが流れると
待ってました!と言わんばかりに客席が大きく
揺れてうねりだす。




その時だった。




演奏中でマイクから離れていたから
声は拾われなかったけど、
思わず “あっ!” っと言ってしまっていた。


激しく揺れる客席の中で人波が崩れて、
その中に飲み込まれていくAちゃん。




え、嘘だろ!
ちょっと待って!




大きくドミノ倒しになっていく人波。
反対側から少しずつ立ち上がってくる人達の中に
Aちゃんが見当たらない。




・・・どこ行った!?
まさか一番下で下敷きなんてことないよね!?




「・・・洋平、集中」




客席を凝視したままの俺に声が掛けられて
ハッと気づいたら、
もう少しで歌が始まるところだった。




呆れたような困ったような顔したまーくんが
俺の隣に立って声を掛けてくれて、
助かったと思って、ありがとうって意味で
そのケツをパスッと叩いた。




歌詞を飛ばさないように気を付けながら
Aちゃんを探したけど結局見当たらなくて。




でも客席を見る限り全員無事みたいだし
スタッフの動きを見てもケガ人とかはいないみたいだから、
大丈夫だったんだろうと思うことにして


平常心を取り戻すために
俺も、もう一度ライブに集中することにした。





*

- 07.→←- 05.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
120人がお気に入り
設定タグ:Alexandros , 川上洋平
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:叢雲 | 作成日時:2018年9月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。