04 - 犬も喰わない / side M ページ46
*
前作 Coming Summer Vacation- 03.から
- 10.話までのまーくん視点のお話になります。
「だから、無理して前来んなって」
『なんでですか？』
「苦手でしょ？」
『でもっ、』
「だから来るなって！」
『・・・命令しないでください。
どうやって楽しもうが私の自由です！』
「・・・は？
あー、もう！Aちゃんがこんなに強情だとは
思わなかった！」
『強情なのは洋平さんでしょ？
たまには折れてください！』
「知らない！勝手にしろ！」
『じゃあそうします！』
「・・・ったく、人の気も知らないで」
怒りにまかせて通話を切った洋平が
スマホを放り投げた。
「なに、洋平。ケンカ？」
思えばここで声を掛けたのが間違いだった。
「あ、まーくん。
ごめん、うるさかった？」
「いや、大丈夫だけど」
「なんかさー、今日のライブ、
前に来るってきかなくて」
「Aちゃんが？」
「そう」
「それくらい好きにさせてあげれば？」
「え？だって危ねーじゃん」
「なにが危ないの？」
「だってAちゃん、
こーんなに小っさいんだよ？」
って、洋平が自分の腰の位置くらいまで
ぐいーんと手を下げて
小ささをアピールしてくるけど
「いや、そんな小さくないでしょ。
小学生じゃあるまいし」
俺の記憶では、
洋平の肩くらいまで身長はあったはず。
「例えだよ、例え」
「だいたいさ、洋平と約束したとしても
多分前に来るんじゃない？」
「え、なんでよ？」
「元々俺達のファンなんだよね？
だったら自然と前のめりになると思うけど」
「でもさー、怪我でもしたら心配だし」
「じゃあ、それを言ってあげなよ」
「は？」
「怪我、されたら心配って」
「言ってたでしょ？」
「ひと言も言ってないよ？
ただただ来るなって否定してた」
「え、うそっ！？ヤッバ・・・、
すぐ掛ける！」
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
