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*
「ねえ、Aちゃん。
なんで今日はそっち向いてんの？」
“帰る”って言ってた彼女が
今日も泊まってくれることになって
一安心して、
一緒にベッドに入ったのはいいんだけど
Aちゃんはなぜか俺に背中を向けている。
「帰れなかったから怒ってんの？」
帰ろうとしていたのを強引気味に引き留めたから
もしかしてご機嫌斜め？
それとも帰らせてあげなかった俺への
わずかな抵抗とか！？
「え、別に怒ってないですよ？」
「じゃあこっち向いてよ」
隣で背中向けられて寝られちゃうと、
なんかすげえ寂しいんだけど。
「あの、それはちょっと・・・」
「えー、なんで？」
「・・・えーっと、今日はこっち向きの方が
寝やすそうな感じがしたので」
「え、昼間あんなに寝てたのにもう眠いの？
俺、あんま眠くない」
「洋平さんは映画見ながら、
コーヒーを飲み過ぎなんじゃないですか？」
「だってAちゃんが淹れてくれたコーヒー
美味しいんだもん」
「なに言ってるんですか。
この前コラムでコーヒーはニワカって書いてたの
私、知ってますよ？笑」
「あ、バレた？笑」
確かにコーヒーの味に関してはニワカだし、
よく分からないけど
「好きな人が淹れてくれれば美味しいもんなの」
そう言えばケラケラと笑って話してはくれるけど
なぜかAちゃんは
こっちに向き直してくれる気配がまるでなくて。
「ねえ、もうちょっと話そ？
俺はさ、Aちゃんが毎日居てくれて嬉しんだよ？」
ちゃんと顔見て話したいのに。
彼女は「いいですよー」って言いながら
やっぱり背中を向けたままで、
全然こっちを見てくれない。
*
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
