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*
「そんなに帰りたい？」
そんなに帰りたがられると
俺も流石にショックを隠しきれないと言うか。
俺としてはこの一週間で将来を見据えることも
出来るかなって考えてたのに、
まさかそんなにそそくさと帰ろうとされるなんて
思ってもいなくて。
もしかしたらAちゃんに、
“洋平さんとずっと一緒に居るのは無理！”とか
思われちゃったりしてんのかなあ・・・。
「あの、ここに居たくないとか
そういうことじゃないんです」
「じゃあなに？」
彼女が少し言いづらそうにしているから、
俺なりに色々と理由を考えて
「あ、体調悪いとか？
昼間もすげえ寝てたもんね？」
「いえ、・・・体調は普通です」
「えーと、じゃあなにか言いにくいこと？
あ、もしかして女の子の日来ちゃったとか？」
「それもだいじょぶです」
「えー、じゃあなに？」
彼女が必死に帰りたがっている理由が
本当に分からない。
「ちゃんと言ってくんないと、
俺、納得できないよ？」
引き下がろうとしない俺に彼女も諦めたのか、
小さな声でぼそぼそと話し始めて
「あの、ちょっと言いにくいんですけど・・・」
「うん、なに？」
「洗濯さぼっちゃったせいで
着るものがあんまりなくて・・・」
「・・・え？そんなこと？」
彼女の言葉に思わず拍子抜けしてしまった。
もー、なんで着るものがないくらいで
“帰ります” になっちゃうの？
「そんなの俺の服いくらでも貸すって」
「でも洋平さんの服じゃ代わりにならな、」
「まあサイズはでかいかもしれないけど、
家に居る分には問題ないでしょ？」
「や、あの、そうじゃな・・・」
「それに今日一日浴室乾燥しとけば
明日には乾くって。ね？」
「そうかもしれませんけど・・・」
彼女の煮え切らない態度に、いつものクセで
強引にぐいぐいと押しまくってしまった。
あー、しまった。
これはほんとに俺の悪い癖。
「あのさ、こっち来て日にちは経ってるけど
一緒に居れてる時間が少ないから、
俺としてももっとこう実感したいというか」
「・・・はい」
「だからね？もうちょっと一緒にいたい」
自分の気持ちを素直に話して
「俺の正直な気持ち！」って言ってみた。
「あとやっぱりひとりで洗濯物畳むの大変だから
一緒に畳んで？」
ふざけてそう言ったら
彼女が笑いながら頷いてくれた。
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
