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*
「あ、私、銀テープ取れたんですよ！
見ますか？」
「いや、俺主催側だから。
どんなテープか知ってるし笑」
「あ、ですよね笑」
明け方4時過ぎだっていうのにハイテンションで
楽しそうにニコニコしちゃって。
ほんとに楽しかったんだろうなっていうのが
伝わってくる。
「あとはですね、あー、洋平さんの格好いいとこ
たくさんあったから、
どこから言ったらいいのか、」
「ふはっ、マジで？そんないっぱいあんの？」
どこが良かったかって聞いたのに、いつの間にか
俺のかっこいいとこの発表になっちゃってるし笑
そんな彼女が可愛くて、
ぎゅうって腕の力を強めながら抱き締めて、
足も使ってAちゃんの体に抱き着いた。
「あの、洋平さん、苦しいです笑」
「だめー、離してあげない。
Aちゃん俺の抱き枕だから」
はー、やっぱ落ち着くな。
こうしてればそのうち眠れそう。
「あ、席は？大丈夫だった？
ちょっと遠かったでしょ？」
「え？私がいる場所、分かったんですか？」
「分かったというか、
リハん時、Aちゃんの席に座ったからね」
「え、そうなんですか！？」
あ、あのとき俺が座ったって分かるものを
残しておけば良かった。
そしたらAちゃんも、
もっと喜んでくれたかもしれないのに。
なんて今さら思い付いたアイデアは、
まあ、また次の機会にでも使うことにして。
「うん。で、ちゃんと見えたの？」
「あ、はい、見えましたよ。
スクリーンもありましたし」
「良い席用意してあげられるのに。
そこだけは頑ななんだから」
俺の言葉にふふっと笑った彼女のおでこにキスをして、
そのまま俺の肩に抱き寄せた。
「でも、そういうとこも好きだよ」
抱き締めたAちゃんの体温と安心感に
ゆっくりと睡魔が襲ってくる。
「ライブ、楽しかったな」
「そうですね、すっごく」
俺の胸にぴったりと顔をつけた彼女の頭に
もう一度キスを落として。
俺がライブして
Aちゃんもそれを楽しんでくれて、
ふたりして疲れた体を寄せ合いながら眠るのも
悪くないなって、
すごく幸せだなって思った。
彼女の体温がじんわりと俺の体に伝わって、
彼女を抱き締めている腕の力が
徐々に緩んでいくのを感じながら、
俺は眠りに吸い込まれた。
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
