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*
「だから、無理して前来んなって」
『なんでですか？』
「苦手でしょ？」
『でもっ、』
「だから来るなって！」
『・・・命令しないでください。
どうやって楽しもうが私の自由です！』
「・・・は？
あー、もう！Aちゃんがこんなに強情だとは
思わなかった！」
『強情なのは洋平さんでしょ？
たまには折れてください！』
「知らない！勝手にしろ！」
『じゃあそうします！』
「・・・ったく、人の気も知らないで」
怒りにまかせて通話を切ると、
俺はスマホを放り投げた。
今日からせっかく長い間一緒に居られるのに、
さっきまでほんとに楽しみで仕方なかったのに、
なんでいきなりこんな喧嘩みたいなことに
なっちゃってるわけ？
「なに、洋平。ケンカ？」
電話口での言い争う声を聞いていたのか、
まーくんが俺に声を掛けてきた。
「あー、ごめん。うるさかった？」
「いや、大丈夫だけど」
さっきの喧嘩でちょうどイライラしてた俺は、
不満を聞いてもらいたくて
「なんかさー、今日のライブ、
前に来るってきかなくて」
「Aちゃんが？」
「そう」
「それくらい好きにさせてあげれば？」
そう言うけどさ、
俺だって意地悪で言ってるわけじゃないんだよ。
好きに見させてあげたいのは山々なんだけど。
「だって危ねーじゃん」
「なにが危ないの？」
「だってAちゃん、
こーんなに小っさいんだよ？」
「いや、そんなに小さくないでしょ。
小学生じゃあるまいし」
俺がぐいーんと手を下げて
Aちゃんの小ささをアピールしたら
まーくんからすごく冷静に否定が入って。
いや、俺だってほんとにそんなに小さいと
思ってるわけじゃないよ。
物の例えでしょ、例え。
*
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
