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迎えの車に乗り込んで、
空いてる席にどかっと座った。
「なに洋平、VIP当日にご機嫌ナナメかよ?
それとも気合いの表れ?」
「違う。ちょっと心配事」
「ああ、洋平って見た目に寄らず
意外と心配性だよね笑」
見た目に寄らずって何気に失礼だな。
俺がぶーたれて座ったからそんなこと言われて
その理由を話したらメンバーに笑われた。
「しょうがないでしょ。
Aちゃん方向音痴なんだから」
「よくそれで洋平の家まで通ってきてるね」
「さすがに周辺は覚えたみたいだけど」
「地図アプリもダメでナビとか使えてるの?」
「ナビがあっても知らない道は
時々やらかしてるらしいよ」
「えー、そうなの?」
「なんか距離感がよく掴めないとか言ってたな」
そのせいかナビより先に曲がっちゃったり、
曲がり損ねて直進しちゃったりで
「ナビに何度もルートの再検索されるって」
そんな話をしたら、車好きで知られていた彼女が
方向音痴という意外性に
メンバーは面白そうに笑ってて。
でも、極度の音痴っぷりを知ってる俺からしたら
心配でそれどころじゃないんですけど。
最近、多少まともになってきたとは思うけど
千葉方面は殆ど来たことないって言うし、
以前その近くでやったライブに来た時には
“友達任せであんまり覚えてないんですよね”
とか言ってたしさ。
「はー、ほんとに大丈夫かな・・・」
ぼそっとつぶやいたらまーくんに、
「洋平心配しすぎ」って呆れられた。
そりゃね、
まーくんは基本なんとかなるって考えの人だから
それで済むかもしれないけど、
「あのね、俺はまーくんと違って心配性なの!」
そんなやりとりをしながらライブ会場へ向かった。
.
会場に着くともうすでにたくさんの人たちが
俺たちのライブに来てくれていた。
それを見たら感謝の気持ちと共にこの人たちを
絶対に楽しませるって気持ちも新たになって、
自然と俺のテンションも上がっていく。
会場入りしてオフィシャルバーの宣伝も兼ねた
写真を撮ったりした後、
しばらくしてリハーサルが始まった。
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作者名:叢雲 | 作成日時:2018年9月1日 0時