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確かに遅くまで掛かったし、
リハが大変だったのも確かなんだけど
「Aちゃん」
「はい？」
首を傾げて返事をしてくれた彼女を抱き締めたら
なにも言わずに彼女も俺の体に腕を回してくれて
ねえ、俺、気付いちゃったよ。
Aちゃんの顔見て緊張が解けた。
今まであんまり意識したことなかったけど、
やっぱり外では気を張ってるもんなんだね。
今回は特に初のスタジアムワンマンライブだから
勿論楽しみだし、やってやろう！って思ってて。
それに向けてしっかり準備もしたし
万全だって思いながらも、
心のどこかで心配とか不安を感じないように
自分で必死に隠してたのかもしれない。
「いよいよVIPかー」
「楽しみですね」
「うん、でもちょっと緊張する」
「え、洋平さんがですか？」
彼女が意外！って顔をして俺を見上げてきた。
まあね、メディアでは強気な態度を取ってるし
基本は楽しむってスタンスでやってるけど、
一応俺も人の子だからね。
「そりゃ俺だって人並みに緊張くらいはするよ。
初スタジアムだし」
「心配ですか？」
「うーん、まあ多少はね」
こんなことメディアを通しては言えないけど
Aちゃんにはこういう俺も知ってほしいし
少しずつでいいから、
ありのままの俺を見てもらいたい。
「明日、楽しみにしてますから。
洋平さんなら絶対大丈夫です」
俺の目をじっと見つめながらそう言ってくれた
彼女の瞳が、
信じてるって言ってくれてるような気がして。
「うん、絶対楽しませる。損させない。
3時間くらいの限られた時間だけど、
最高の時間にしてみせるから」
俺の背中を押してくれた彼女にそう約束した。
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
