03 - Coming Summer Vacation ページ1
*
「・・・当たったぁ」
「ん？」
「会員限定ライブ当たりました！」
誇らしげに “当選” と書かれた画面を俺に見せて
嬉しそうにしている彼女。
当落結果を確認するのにかなり緊張したのか、
もう一度画面を確認した後、
解き放たれたようなほっとした顔を見せた。
「だから俺が用意するよって言ったのに」
「ダメですよ。倍率高いんですから、
そこは平等じゃないと」
もー、Aちゃん変なとこで真面目なんだから。
チケット取りにくいだろうから用意するって
いつも言ってるのに、
前回のライブハウスツアーの時もそんなこと
言ってたけど。
せっかくの俺の彼女特権なんだから、
どんどん使えばいいのにって思うんだけどね。
俺だってAちゃんにはステージ見てもらいたいし、
だからわざわざ用意するって言ってんだからさ。
まあ最終的にチケットがどうにもならなかった時は
俺権限でバックステージに連れてっちゃうし、
関係者席って手もあるからいいけど。
「でもAちゃん、運強いよね？」
「そうですか？」
「前回のライブハウスも、
その前の限定ライブも当ててたじゃん」
「あー、そうですね。
ふふっ、洋平さんへの愛ですかね？」
「えっ、」
当たったことがよほど嬉しいのか、
照れる様子もなくそんなことを言って
にこにこの笑顔を振り撒きながら
うきうきしてる感じがほんとに可愛らしくて。
「VIPも行くし、限定ライブと
週に2回もライブなんて贅沢ですよね！」
「そうだね、箱の後すぐスタジアムだもんね」
そんな彼女を見て、はっと気が付いた。
「ねえ！Aちゃん夏休みいつ！？」
「え？限定ライブの週ですよ？
だからチケットも取りたかったんです」
「やっぱりそうなんだ！」
*
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作者名：叢雲
| 作成日時：2018年9月1日 0時
