emerald 3. ページ3
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「貴方は、えっと、」
起きたら見知らぬ男がいるというのに、別に驚きを見せる様子もないこの女。
少しは危機感を持ってもいいのではないだろうか。
芥「僕は、ポートマフィアの芥川龍之介。首領に頼まれて来た。」
「ああ、鴎外殿の計らいね。忙しいなら来れない、と一言くださればよろしいのに。」
芥「それほど心配だったのだろう。」
「嬉しい事ですわ…遠かったでしょう?紅茶を淹れてきたいのだけれど、紅茶は飲めますの?」
芥「ああ。有難う。」
「良かったですわ、少しお待ちくださいな。」
ニコリと笑った女は室内へと消えていった。
彼女はエメラルドグリーンの目をしていた。外国人なのだろう。
まさか、ポートマフィア内の噂で聞いた、眠り姫、って言うのは………。
数分して戻ってきた彼女の手には、2組のティーカップがあった。
優しく僕の前に置かれた赤い色をした紅茶からは、湯気がでている。
「今日は芥川さんと初めてお会いしたのでとっておきの紅茶にしたわ!私の一番のお気に入り!」
芥「…そうか。では頂く。」
「ふふふ、どうぞ。」
ニコリと微笑む彼女はこちらをマジマジと見ていた。
そんなに見られると飲みにくいんだが…
1口紅茶を口に運ぶと、甘い紅茶の味と、薔薇の匂いが広がる。
「どうかしら?」
芥「…美味い。」
「ふふ、良かったわ!」
芥「薔薇の匂いがするな。」
「あら、嗅覚が凄いのね。手作りのローズエッセンスを1滴いれているわ。独特な風味が出て美味しいのよ。」
芥「そうか。」
ローズエッセンス。
それを手作りと言ったか?この女は妙に手先が器用らしい。
そう言えば、名前は何といっただろうか。
芥「……名前を教えろ。」
「あら、私とした事が。自己紹介がまだだったわね。」
紅茶を楽しんでいた彼女は面を食らったように表情を崩した。
「私の名前は、A・ブランシェット。
Aとか、ブランシュとか皆様は色々な呼び方をされるけれど、Aと呼んでくれたら一番嬉しいわ」
芥「A、日本名か?異国の者かと思っていたのだが。」
「ああ、私こう見えてハーフなの。目の色とか顔立ちで異国人と間違えられる事は確かに少なくはないわ」
芥「そうか。」
A、は、髪の毛の毛先をクルクルと遊びながら、綺麗に笑った。
ハーフ、だったのか。
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作者名:rira . | 作成日時:2019年7月5日 16時