大型犬入門。

ただの犬？ ページ43

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「なんかいろいろ焦ったけど、俺、ヌナと一緒にいたい。ただの便利な犬でもいいから、一緒に…、んー…」


「ミンギュはただの便利な犬じゃないよ」


「……ほんとかあ？」







にひ、と笑うと犬みたいに尖った犬歯がちらっと見える。
本当に、ミンギュはかわいい。かわいくて、愛おしいんだ。








「だって俺がくっついたって顔色ひとつ変えなかったじゃん」


「見えること全部がほんとじゃないよ」


「…難しいこと言うね。文系？」


「…いちいちドキドキしちゃってしょうがなかった、感じ…」






ミンギュが正直すぎて、まっすぐすぎて、ついこっちまで感染ってしまう。




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手をぎゅっと握ったままのミンギュは、背を屈めてわたしに顔を寄せる。




「やっぱりかわいい」


「…ミンギュもね」


「ねえ、Aさん、聞いてほしいんだけど」


「は、い」


「俺、Aさんが好きだよ。これはわがままだけど、俺のこと選んで欲しいって思ってる」








痛いくらいに心臓が疼く。

追い討ちをかけるように『だいすき』なんて、まっすぐ言うから、









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「ねえ、もっかい言って？じゃないと俺帰んないよ？ねえ」





自分で返事してなんだけど、家までの道がだいぶ長く感じた。

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