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chapter:41 ページ42

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「この数日の間に色々考えてたんだよ、駅前で久々に見た時のことから思い出しながら。始め、避けられてるかと思ったって言ってただろ?」

「うん...」

「嫌いで避けてたわけではなかった、ってのは本当。で、あのそらとの一件以来対応が冷たくなったのはごめん。」

「あ、それは...全然大丈夫だよ」

「俺も冷たく当たりたくなかったのに、気付いたらあんな風にしか物言えなくて。メンバーにもちょっと強く当たってたりしてたんだけど、なんでこうなるんだって考えてたわけ」



「そしたら、単純に嫉妬してた。俺は何故かAと上手く話せないのに、他の奴らとはAも普通に話してるんだよって。餓鬼くせぇよな」



話を聞き進めていくうちに、どくどくと鼓動が速くなっていくのを感じる。
その先の言葉を聞きたいような、聞きたくないような。
でも、時々自嘲混ざりの笑みがこぼれるえいちゃんに、不安な気持ちは幾分かやわらいでいた。



「それで、結局言いたかったのは...あー」



ふふふといつもの笑顔に戻り、サラサラの髪に指をかけるえいちゃんをじっと見つめる。
その人から発せられる言葉を、1音だって聞き逃さないように。



「聞かせて」


小さくその先を促す私の言葉に頷いたえいちゃんが、髪を触るのをやめて私に向き合い直す。
もう、不安な気持ちは1つとしてなかった。






「.....Aが好きだよ。ずっと傍に居てほしい。」


「うん...。」




「この歳にもなって好きな人と上手く話せないとか、仲のいい奴にも嫉妬するとか、かっこ悪いね、俺」


一気に緊張が解けたように、はーっと息を吐き出しながら少し小さくなるえいちゃん。

その言葉は期待してたものだったけど、いざ言われてみると反応するのも恥ずかしいもので困ってしまう。
本当に本当に、嬉しい言葉なのに、口から出てくるのは照れ隠しのような言葉ばかり。



「かっこ悪くはないけど...普段器用なのにね、意外」


「よく言われるけど、俺別に器用じゃないし...」



でも、駅前で再び会ったあの日から、ずっと聞けてなかったえいちゃんの本当の心境を知れてよかった。




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エイカ - お話の感想ではないことを書き込んでしまいすみません…。 (2018年3月28日 18時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
エイカ - お久しぶりです!今回のお話もとてもよかったです!えいちゃんと夢主ちゃんが会ってとても嬉しいです!笑続きがとても気になります…!更新頑張ってください!話が変わりますが3/25にファンミに行きました!初めて近くでアバンティーズを見れてとても嬉しかったです♪ (2018年3月28日 18時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
雨城(プロフ) - とんでもないです!そして、ありがとうございます。エイジさんをたくさん登場させたいと思いながらも字数制限に負け、あまり書けなくて…たくさん登場させられるように頑張ります! (2018年2月6日 9時) (レス) id: e39777545c (このIDを非表示/違反報告)
エイカ - 雨城さん» アドバイスありがとうございます。あと、今回のお話もとても面白かったです。今までえいちゃんがあまり出てこなかったので楽しく読まさせていただきました。 (2018年2月5日 19時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
雨城(プロフ) - エイカさん» 字数制限があるので、あまり詳しいアドバイスができずすみません。私でよければいつでも質問していただければ答えさせていただきます。エイカさんもお話の更新、頑張ってください! (2018年1月17日 0時) (レス) id: e39777545c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨城 | 作成日時:2017年12月19日 23時

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