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今朝、ギリギリで教室に入ってきた名前からは、当然のことながら同じ匂いはしなかった
あの獅子のことだから、高いものでも渡したのだろう
癖のある毛は、きらきらと光りに輝いて天使の輪の様なものが見えた
自然とペンを握る手に力が籠る
黒板に記される文字を、重要な部分だけノートに書き取りながらちらりと横に目をやる
あの獅子と同じように着こなされた服、きっと片割れが見れば怒るだろう
僕も怒っていない訳ではない、が
さら、と流れた髪の隙間から見えた項にはうっすらと、しかし消えないような、そんな歯形が付いていた
思わず名前の手首を握ればそれはもう目を見開いて僕を見上げる
『ジェ、ジェイド‥?』
ジ「‥、昨日、何をされたんです?」
そう尋ねれば焦ることもなくただただ首をかしげた
僕の杞憂だったか、と少し安心しながら握っていた手首を離す
ジ「いえ‥、なんでもないです」
『‥そう?』
少し、話をしなくては
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キノコの世話
きっとそう思うだろう
そんな僕は目の前で鼻を鳴らしながら眉間にシワ‥、ではなく怪しく笑う獅子に思わず頬がひきつる
レ「何の用だ」
ジ「ふふ、貴方なら存じ上げているかと」
レ「はっ、何のことだか」
地べたに座り、がしがしと頭を掻いて欠伸を漏らす獅子
その余裕な態度に、僕の心には少し焦りが滲んだ
ジ「あの痕は、どういうおつもりで?」
レ「テメェのもんじゃねぇだろ」
ジ「貴方のものでもありませんよね?」
ぴりり、とした空気が走り鋭い眼光に睨まれる
僕も負けてはいないと思うが年の差もあるからか、纏われた空気は酷く恐ろしいものだ
レ「あいつを逃がすつもりはねぇ、誰かにやるつもりもな」
ジ「それは僕とて同じことです」
レ「既に逃げられてるってのにか?」
鼻で笑うその姿に思わず眉がよる
上げていたはずの口角はもう垂れてしまった
ジ「取り返して見せますとも」
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先程訪ねてきた靱のことを考えながら寝転ぶ
俺とて逃がすつもりはないが、此処は学園
転寮なんてものの手続きはそれは面倒で
獲物、と言っても名前は俺の大事な人間の一人
そんな名前を傷つけたのが許せなかった、なんて言えば周りは笑うだろう
欲しいものは手に入らない
その事実にまた、嗤った
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きゅうり - 天才すぎんか???好きです。続編みたいな〜((((((( (2022年5月14日 10時) (レス) id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - や、やだ…鼻啜りながら泣いた…監督生ちゃん悪女なのね…クルーウェル様とてつもなくかっこいいわ… (2022年3月27日 3時) (レス) @page14 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
Minori(プロフ) - あ、好きです…()前から見てたんですけどずっとコメント送れなくて…神(??)に私が送るのは少々恐れ入りますが…ぜ、是非これからも無理せず頑張ってください!!!私はこれからもひっそりと見ますのでどうか…(((( (2021年6月21日 4時) (レス) id: 34e08249b5 (このIDを非表示/違反報告)
天科(プロフ) - 本当に面白くて一気に読んじゃいました…。これからも頑張って下さい! (2021年6月12日 21時) (レス) id: f12a0f262c (このIDを非表示/違反報告)
モモ - スキィ!面白いんじゃない? (2021年6月12日 0時) (レス) id: 18ee1de0f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年5月26日 9時