change 〜Another story 8〜

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「予定？」

『うん』

福岡について、前日リハのためドームに向かう移動車の中、思い出したように樹に聞かれたのは年末年始の予定だった

「樹たちの仕事に付くけど…」

『それ終わった後とか。』

「アカリと会う」

『他は？』

なんかあったっけなぁ…

「あ」

『ん？』

「専門学校の友達に呑みに誘われた」

『行かないの？』

「行かないよ」

『なんで？』

なんでって…そりゃ…

「…元カレが来るから」

ピシッと顔が凍りついた樹

「嫌でしょ？だから、行かない」

アカリと会えれば正直それだけで十分だよ

専門学校で仲良かった子には、忙しくないときに別で会えば良いし
樹妬かせてまで行く程の集まりでもないし


『…いっ…てきなよ…』


随分間を開けて口を開いた樹

かなり無理してるのは見てて伝わる

「いや、いいよ」

『俺さ…デートとか連れて行けないから…』

まだそんなの気にしてたんだ
気にしなくていいのにな

『だから、そーゆーの…行っていいよ』

無理に笑う樹だけど、目が笑えていない

「元カレいるのに？」

『…帰り迎えに行く』

「ふふっ、バレたらまずいよ？」

『バレないように行く…』

どうしてもそこは譲れないらしい樹は、
俺もたまには…とか、こんな時くらい…とかブツブツ言ってた

「じゃあ…行くって返事するけどいい？」

『うん。絶対ちゃんと帰ってきて。てか迎え行くから勝手にどっか行かないでね』

そんなに言うなら行かないでって言えばいいのに

そう思ったけど、それは樹の優しさを踏みにじるような感覚でできなくて
私はLINEを開いて参加すると伝えてしまった



行かないって、言えばよかったんだ


その先の未来まで、考えてそうしたらよかった…


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