change 〜Another story 8〜

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ユキ「ん？あぁ…」

私の方を向いて、何か言いたげに言葉を濁した彼

「別れたよ？数年前に」

とは反対に、はっきりそう伝えた私

別にユキになんの未練も感情もないし
ここで言葉を濁した彼の意図なんて考えもしない


「え〜お似合いだったのに」
「2人とも今付き合ってる人いないの！？」

酒も回った友人達は、気になることを次々と質問してくる

ユキ「俺いない」

「ふふっ、遊び相手はいるんでしょ？」

ユキ「お前、俺そんなやつに見える？」

「ずっと見えてる」

ユキ「こう見えて一途だからね〜俺」

「あっそ」

本当に、どうでもいい会話だけど昔に戻ったみたいな

元カレとはいえ色んな話が出来るいい友達、みたいでその時間が楽しかった


「Aは？彼氏いないのぉ？」

私たちの掛け合いを見ていた友人が、私に向かって質問を投げる

「私？私は…」

頭に浮かんだ樹の顔

いる、といったら誰？とか写真は？とか根掘り葉掘り聞かれてしまうんだろう
お酒も回った私の頭じゃ、ついポロッと喋ってしまう危険性だって考えられる

私のせいで樹の今後を潰すわけにはいかないから

「いないよ」

私は樹との関係を隠すことを選んだ

ユキ「え、そうなの？」

「なに？」

ユキ「いや、なんでもない…」

そこで急に口をつぐんだユキだったけど
そんなこと、全然気にならなかった

その後は皆、自分たちの近況報告とか、スタイリストデビューしたんだとか、先輩がうざいんだとか
それぞれに色んな話をした

「Aあの、有名店だったよね？」

「ん？あぁ、うん」

仕事も、美容室で働いてるとウソをついた
とにかく深掘りされるのが怖かったから。

ほら、なんだったっけ店の名前〜とニコニコ笑う友人

重ねていくウソに、ほんの少し胸が痛んだ


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