change 〜Another story 8〜

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ぱちっと目を覚ませば、目の前には樹の寝顔

ほんの少し痛む腰を、うんと伸ばすと
隣の彼もゆっくりと目を覚ます

『…おはよ』

「おはよう」

寝起きの、あまり開いていない目
うっすらとはえた髭

「髭はえてるよ」

『んー。』

ふぁーっと欠伸をした樹は、チェックアウト何時、と言いながら起き上がる

「10時だね」

『シャワー浴びようかな…』

「あ、私も行く」

広めのお風呂
2人で朝風呂に浸かって、ちょっとだけのんびりして

「あ…スッピンで地下鉄しんどいなぁ」

『実家帰るだけでしょ？後でコンビニでマスク買えば？』

「うん、そーする」

2人でお風呂から上がって、バスローブを羽織った


ホテルに備え付けられたドライヤーは威力が弱くて
髪が乾くまでに時間がかかる


ボーッとしながら髪の毛を乾かしていると

『A』

名前を呼びながら肩をトントン、と叩かれる
振り向くとさっきよりほんの少し機嫌の悪くなった樹が

『電話だよ』

そう言って私のスマホを差し出した

ディスプレイに映るのは"ユキト"の文字

「…ほっといていいよ」

『出なよ、元カレでしょ？』

「うん…無視でいい」

『なんか言いたい事あるのかもよ？』

「ん…」

ほら、とスマホをグイッと差し出されて渋々受け取る

私は樹に見つめられながら、彼からの電話をとった


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