change 〜Another story 5〜

40.Itsuki side ページ40

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会場に入ると、独特の雰囲気
先に来ていたバリは既にアップを始めていた

荷物を置き、アップに向かうまこっちゃんと翔平に俺もついていった

翔平「緊張すんな〜オールスタンディング」

そう言いながらいつもと変わらない笑顔の翔平は、つくづくメンタルが強い

翔平「俺本番に弱いからな〜」

…と、思ったが前言撤回


マイペースなまこっちゃんは黙々とストレッチに励み、本番に弱いらしい翔平はよく喋る

トレーニングルームに向かう前の大きな窓辺から外を見たとき、既に何人ものファンが待機していた
そのうちのどのくらいがランペファンなのかわからないけれど
溢れかえる人並みに胸が高鳴るのを感じた

それと同時にプレッシャーを感じるのもまた事実で。

ストレッチしながら無言のまこっちゃんは何考えてっかわかんねえし
ベラベラ喋る翔平は緊張を紛らわせるためだろうし

そんな俺はと言うと、何も喋らずバイクを漕ぎ続けるまこっちゃんのことをどうこう言える立場じゃない状態

弱いな、俺

会場内をバタバタ走り回るスタッフさんの中にAの姿もあった

主にメイクやヘアが担当でも、衣装準備や他のスタッフさんの手伝いをしているA

あ、落とした…

大量の衣装の中のバンダナを落としてしまった彼女は、それを拾い上げると
パッと顔を上げる

俺の視線に気付いていたのだろうか
にっこりと微笑んだAは、口パクで俺にメッセージを伝える

"頑張れ"

Aのその笑顔が俺の緊張をゆるやかに解いていったのは、言うまでもない。

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