Anthem 6

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好きだよ、と目の前で微笑んだ玲於くんは
見たこともないくらい優しい顔をしていた

抱きしめる腕は、これまでで1番強い

少し私の体を離した玲於くんは

ボロボロに泣き崩れてMV用に施されたメイクなんて跡形もない私の頬を包み込むように撫でる

親指で流れる涙を拭いながらふわっと笑った


玲「泣きすぎ」

「だって…」

玲「ずっと返事出来なくてごめん」

「うんっ…」

今度は私から、玲於くんに抱き着く


背中に回った腕が
優しく私を包み込んで

頭に置かれた手がクシュっと髪を撫でる

力強いのに優しい腕の中
玲於くんの心臓の音が聞こえた


「玲於くん」

玲「ん？」

そんな彼の胸元に顔を埋めたまま口を開く

「私ね、きっと初めてテレビの向こうの玲於くん見た時から好きなの」

玲「なにそれいつの話？」

「中1」

私のその答えに、ははっと笑った玲於くん


「4年もずーっと想ってきてん。夢みたいやわ」

初めて彼のダンスを見たあの日から、私はきっと玲於くんだけを目掛けて走り抜けてきた

そりぁ初対面の印象は悪かったけど、今こうして
抱きしめてくれる彼が玲於くんでよかったと心から思える


「玲於くんっ、好き」

玲「うん」

「好きすぎて苦しいくらい…」

玲「うん」

優しく相槌をうちながら撫でられる頭

生きてきた中で、こんなに嬉しい日はない
私は絶対今日という日を忘れないだろう


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