Anthem 6

20.Reo side ページ20

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「よかった…」

そう言ってAが溢した涙

メンバーが優しく見守る中でポロポロと泣き始めてしまった


いつも忘れてしまうけど、こういうふとした瞬間に
あぁ、そういえばまだ高校生だったな…と思い出す

それくらいプロ意識が高くて、負けず嫌いで、
でも眩しいくらい輝いて、芯の強い彼女だから
こんなにも周りに人が集まる


「よかったぁ…」

泣きながら何度もそう繰り返す

「私っ…私のせいで玲於くんとか皆からファンが離れていったらどうしようって…怖くて」

玲「ん」

「でも怖いとか…助けてとか…言っちゃいけないと思ってたから…安心した…」

ふにゃりと笑う顔には、溢れ落ちる涙の跡
もう、何の躊躇いもなくその涙を拭いていいんだね

頬に手を添えて優しく涙を拭ってやると
ふわっと微笑む

やっぱりAの笑顔は眩しい

明るく笑うあの顔もそうだけど
こうやって涙にまみれた笑顔さえ。


いつだったか、俺だけに向けられればいいと思っていたその笑顔は
日本中を巻き込んでGENEを盛り上げる活力になっているから

玲「堂々としてよう」

「うんっ」

隼「だからって堂々とイチャつかないでね」

「んー。」

隼「何だその返事はっ！」

「あははっ！」


仕方ない、俺だけに向けられなくてもいいよ


ちゃんとそばで見てるから

"怖い"って、"助けて"って言えなくなる前に
俺がちゃんと抱きしめるから


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