Anthem 3

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翔吾「あ、おかえり〜」

スタジオにまだいた翔吾は、控えめな音でInto youを流していた

「翔吾、あのな、」

翔吾「待って。やっぱ返事まだいらない」

「え？」

翔吾「だって俺今から振られるでしょ？」

悲しそうに笑った彼

そんな笑い方もするんやな…
何かを覚悟したような、それでもまだなにかに賭けたような切ない笑顔

翔吾「Aさ、玲於さん好きでしょ」

「…っ！」

翔吾もわかってたんか…
そう思い目を見開くと、あははっと笑う目の前の彼


翔吾「オーディション終わるまでチャンス頂戴」

「チャンスって…」

翔吾「年上なのにカッコ悪いけどさ、俺玲於さんに負けないように踊るから」

「うん…」

翔吾「返事は…オーディション終わったら聞きにくる。」

ニコッと笑った顔は、いつものヘラっとした笑顔


翔吾「1つだけワガママ言わせて？」

「ん？」

翔吾「ギューってしていい？」

「…ええよ」

翔吾「ん、きて」

両手を広げて待っている翔吾の胸に飛び込む


はぁっと短くため息をついた彼は
ギュッと包み込むと私の肩に顔を埋める


小さい頃からニヤニヤヘラヘラしてた翔吾はそこにはいない

目の前の翔吾は、いつのまにかがっしりした腕で男の人なんだなと思わせる

「大人になったな、私ら」

翔吾「俺らなんてまだガキでしょ」

「それもそうか」

きっと抱きしめられながらこんな会話が出来るのは、翔吾とはぁ君くらいだろう

戦友みたいな翔吾が、いつから私に想いを寄せてくれていたのかわからないけど

その気持ちは素直に嬉しいと思った

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