７尾行と馬鹿 ページ8
その日の帰宅後。中原は学校の連絡網から非合法系統まで、ありったけの情報網を駆使して｛江口A｝について調べた。結果から言うとーー
「……ーーーねぇし」
そう。
Aについての情報は一切無かったのだ。学校に登録されている個人情報は以外ほぼ皆無。両親が他界している事以外、特筆する事の見当たらないデータが画面上に広がる。割といい値段のするデスク用チェアに身を預け、中原は大きく息を吐いた。SNSなども使っていないらしく、通信履歴から彼の大まかな思想なんかを読み取る事も出来ない。という事は。
「あー…………だりぃ」
こんな仕事は一体何年振りだろうか。昇進してからは部下にやらせていた事だ。腕が鈍っていなければいいが。
翌日からの江口Aの尾行が決定した。
校門の見える空き教室から登校風景を眺め、
「…あいつ一人か。」
授業中は隠しカメラでクラス全体を監視。
「中原ー授業中にスミャホ見るなー」「うっせえ
ーーー廊下に立たされつつも監視。
「真面目に受けてんだな……」
一限から四限までそう過ごして、休み時間開始のチャイムをよそに中原はパキパキと首を回した。
見た所ちゃんと授業は受けている様だし、動きがあるなら自由時間の今か放課後の二択だろう。
携帯端末とにらめっこする彼は｛邪魔されるとガチギレする程溺愛する彼女がいる｝などと言う根も葉も影も形もない噂がそよそよと流れている事など知るよしもない。
休み時間開始から１０分。
動きがあった。
飯を食べ終えた江口が立ち上がったのだ。
同時にオペラグラス片手の中原も席を立ち、廊下に出る。クラスメイトが「え、この学校に居るの？」なんて話をしているが俺に関係は無いだろう。
江口は意思を持って真っ直ぐに廊下を進んでいく。
この方向は………としょし「ぶっ！！」
廊下の向こう側から走って来た馬鹿と正面衝突し、中原は１メートル程飛んだ。その馬鹿は後頭部を軽く壁に打つけた彼に恨みがましそうな目で「雲、逃げたら君のせい。」と言って謝りもせず走り去る。むしろあの馬鹿の脳内では中原が悪者らしい。
この学校には変人しか居ないのだろうか？
「っーーーおい！！！」
慌てて周囲を見渡すが、もう江口は居なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです！リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます！！ (2016年10月4日 15時) (
レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します！ (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が１６日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物（代表:幽霊）に苦手意識ある気がしませんか？国木田さんもそうですけど。（社長はその後光で幽霊さん浄化される。（確信）） (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠誠 | 作成日時：2016年6月26日 19時
