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48それだけの事 ページ49

中原は数分その場で立ち尽くしていた。流の遺体がある筈の階下からはまだざわめきは聞こえない。

床に、帽子に叩きつけられる雨の音。遠く聞こえる蝉時雨。

分からない、この感覚が。任務はちゃんと果たした筈なのに。この、虚無感は何だ。どうすれば消える?

ふと、中原は何者かの気配を察して扉の方に振り向いた。

傘に雨が当たる音。

一人きりだと思っていた空間に唐突に音が増える。そこに立っていたのは

「………手前、」

涙を流している江口 Aだった。全く想定していなかった光景に中原の思考が止まる。彼は泣きながら真っ直ぐに雨でふやけた茶封筒へと進み、それをハンカチで包んでスクールバッグに入れた。

「何……してんだ、」

私物の回収、と所々鼻を啜りながら答えられてから気づく。自分が聞きたい事はこれでは無いと。中原は質問を変えた。

「何で、手前は泣いてる……」

その答えを、江口は目元を拭いながら答える。

「だって……友人が、死んだから」

カッ、と頭に血が昇る感覚がして、気づけば中原は江口の襟首を掴んでいた。

「違う!!そうじゃねぇよ、死んで欲しく無いんなら俺に情報を渡さなければ良かったろうが!?」

俺に情報を与えると言う事は、即ち流の首を絞める行為だと。此奴は気づいていた筈だ。それなのに。此奴は事態の全貌を知った上で友人と呼ぶ人間を見殺しにして、泣いている。

「……だけじゃ無いか」

「あ゛ぁ!?」

江口は中原に襟首を掴まれたまま言った。

「僕は今迄通り話を書いていただけだ。君が主人公を指定しただけ、君が僕の話を利用しただけ。
僕はミィを殺していない。だから、友人の死を悼んでいる。」

関係無いと。そう言うのか。あれだけ関わっておいて。倉庫に置いてあったナガルの話、此奴らが1年生だった頃の物もあった。ナガルがクスリ売りを始めた頃の物も。という事は、リストの中にクスリ売りだという情報を俺がこの学校に来る前までに此奴は知っていたのだ。
俺にナガルを紹介した時、既に今、この状況が予想出来ていたとしたら。

「………イカれてやがる」

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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時

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