４２第三者目線の話 ページ43
〈空見流には２歳下の弟がいた。
彼は自分より人間性が出来ていた。当時の自分より成績は良かったし、大人からのウケも良かった。
流はそんな彼が自慢だった…でも、次第に思ってしまった。
僕は『お兄ちゃんだから出来て当たり前』なのに。
セイは褒められてる。
【羨ましい】。
呪いにも近いその言葉は、自覚した瞬間から流を苦しめた。自分よりも相手の方が上だと認める事で【羨み】という感情が生まれる事を知っていたが故に。
兄としてのプライドがそれを許さなかった。
たかが２歳。されど２歳の差。要らぬ見栄が素直な感情の邪魔をする。
お兄ちゃんだから泣いちゃいけない。
お兄ちゃんだから甘えちゃいけない。
お兄ちゃんだから我慢しなきゃいけない。
お兄ちゃんだから弟より下じゃいけない。
お兄ちゃんだから。お兄ちゃんだから。
寂しい。泣きたい。辛い。甘えたい。
そんな感情はお兄ちゃんには相応しく無いから。
だから笑った。
感情全てを殺して、隠しても大丈夫な位に。
でも、でも、でも。
僕も、僕だって。
何で？僕はいつになったら？
自分が劣っているという自覚の上で生まれる感情は
更に流の首を絞めてーーー結論、物理的に首を絞めた。
だからこそ。
『自分に関心を持たない両親は、セイは悪くない。だって善良な人だから。それなら誰が悪いのか？』
自問自答の答えは全ての疑問に共通した。
『至らぬ僕が悪いのだ。』
流は良くも悪くも真面目だった。自らを傷つける行為をしようとする前にきちんとそれに関する本を読み、効果とデメリットを調べた。
怪我をすると痛みを緩和させる為の成分が体内から分泌され、それによって安堵感が得られる事。
しかし、傷が残ってしまったり、血管を切ってしまうかも知れないので、しないに越した事はないという事。
調べた上で、彼はそれを実行した。少し血が滲む程度の小さな傷だった。最初は安堵感の為だった行為は、次第に関心を得る為に変わっていった。
何気なく母親に腕の傷を見せようとした。きっと心配してくれるだろう、そう思って。
でも。僕の事で心配をかけたくないと思ってしまって。
結局踏ん切りがつかず下手くそに笑った口から出たのは
『気付いたら手首に傷が付いてた』、だった。
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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです！リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます！！ (2016年10月4日 15時) (
レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します！ (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が１６日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物（代表:幽霊）に苦手意識ある気がしませんか？国木田さんもそうですけど。（社長はその後光で幽霊さん浄化される。（確信）） (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠誠 | 作成日時：2016年6月26日 19時
