【文スト】黒のエンチャンター

３６空見 流と書かれていた原稿用紙の最後の１ページに書かれていた内容 ページ37

〈遠い。遠いよ。何でセイにばっかり構うの？僕だって此処にいるのに、僕は、見てよ、何でこんなに息がし辛いの
ねぇ、答えてよ、親なんでしょう？
求める僕がいけないの？〉



〈僕は夢売り。
目を背けたい様な現実と引き換えに、楽しい哀しい夢を売る者。

今日のお客さんはキイロハリネズミさん。
ちくちくした針に包まれた肌の中に、柔(ヤワ)くて赤い血肉を隠したハリネズミさん。
キイロハリネズミさんは２回目のご来店。
初来店の時はクロネズミさんだった気がするけど、僕は知らない。

求める人に合わせて夢を売るだけ。

夢売りの仕事は忙しい。
ずぅっと店番してなきゃいけないし、夢を邪魔しない様にずぅっとずぅっと透明でいなきゃいけない。


何で透明でいるんだろう？

僕は見て欲しいのに。


それはきっと、クレーマーさんが怖いからだ。
クレーマーさんが一人二人いる位がいいお店の証拠って言うけど、やっぱり怒られるのは怖い。
痛いのは嫌だ、心も、体も。


何で僕は透明でいるんだろう、

自分で痛いのは出来るのに。


それはきっとクレーマーさんが怖いからだ。
…嗚呼、この話はもうしたか。
じゃあクマさんの話をしよう。
スライムになっちゃったクマさんの話を。〉

３７翌日の事→←３５空見 流と題名に書かれていた原稿用紙の中身

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