検索窓
今日:6 hit、昨日:37 hit、合計:44,791 hit

32江口と広津 ページ33

江口Aと広津柳浪。
彼等の関係を語るならば、話は30年以上も前にーーーAが生まれる前にまで遡る。


若き広津とAの父、正記(まさき)は良き友人であった。正記は密輸業を営んでおり、ポート・マフィアと深い信頼関係で結ばれていた。機密文書、外国との取引等。組織にとって重要な物は全て正記自らが運んでいた。

今や百人長として組織の一隅を任されている広津だが、彼にも下積み時代はある。正記の元に依頼を持って行くのがその頃の仕事だった。

武器の事、仕事の事、女性の事。若い二人は酒を酌み交わしながら色々な事を話した。彼が「子供が出来た」と言った時は柄にも無く赤子用品店に足を運んだ物だ。裏社会で黒く汚れてはいても、矢張りあの頃は青春だったのだと広津は思う。

幸せそうな夫婦に「抱いてみろ」と言われ、間違っても異能を発動せぬようそっと、そっと抱っこした赤子は見る間に字を覚え言葉を喋り、小学校を卒業した。よく笑う子供だった。
広津と正記の20年来の関係は何も変わらなかった。お前もそろそろ身を固めろよ、家族は良いぞと自慢されるようになったというだけで。



…そして。

三年前……Aが14になってすぐの事、事件は起きた。

正記が重要書類を紛失したのだ。

広津は首領に直談判しに行った。そんな筈はないと。彼奴に限ってその様な事は有り得ないと。

事実、書類は首領の手の中にあって(・・・・・・・・・・・・・)、それは正記の無実を、そして彼の処分を明確に表していた。
信頼されていたが故に知り過ぎてしまった彼の口封じが任されたのは、皮肉な事に、広津だった。

33生きる術→←31「誕生日だから」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
41人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中原中也 , 学校
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。