26暇潰し ページ27
「パンチ」
「血祭り」
「陸上自衛隊」
「異次げーーーーじゃない
「血みどろ」
「ロック」
「くじ」
「地酒」
「ケア」
「飽きた」
「確かにな。止めるか。」
小説が書き上がるまでの暇潰しがまた1つ消えた。カリカリとペン先を新調した万年筆が原稿用紙の上で走る音だけが空間に響く。ふと、中原はその単語を呟いた。
「ナナフシギ」
「……何だ、再開するなら『か』だ。」
「違ェよ。しりとりは飽きた、っつったろうが。
その、ナナフシギって何だ。」
江口は驚いた様に目を見開き、数秒しない内に嗚呼、と声を漏らした。学校に通った事のある者であればその名前だけでも一度は聞いた事がある筈の言葉、七不思議。裏を返せば学校に行ったことが無い中原が知らぬは道理、という訳だ。
「馬鹿にするつもりは無いから、一度腹を抱えて君を指差した状態で笑わせてくれ」
「現時点で馬鹿にしてると自覚しやがれクソ野郎。」
「で、なwなwふwしwぎwwwの話だったな。」
「無表情で声質だけウケてんじゃねぇよ。」
「つまらない事にいちいち突っ込むな。
七つの不思議な現象の事だ。文字通りな。」
無駄によく響く声はいつもより1オクターブも低く、矢鱈ゆっくりとした喋り方は嫌でも内容を脳に染み込ませる。
「一つ。北棟二階、進路相談室では受験に失敗し自害した三年生の霊が勉強している。
二つ。西棟三階の生物実験室のホルマリン漬けは誰も居なくなると動く。
三つ。夜、食堂前の自動販売機の商品受け取り口に手を突っ込むと、そのまま自販機に食われる。
四つ、……北棟三階の女子トイレ、左から三番目の和式便所には花子さんという名の幽霊がいて、身代わりを探している。
6年程前実際に、用を足しに行った友人をトイレの外で待っていた女子生徒が、『交代しましょう』という声を聞いて何事かとトイレに入ると友人の姿どころか誰一人居なかった、という失踪事件があったそうだ」
言い終えると同時に江口は万年筆のキャップを閉める。ようやく1つ書き終えた。姿勢を正そうと椅子を引いた、その時。
ガタ
「ひッ」
ひっ?
ふと江口は顔を上げた。周囲には中原以外の人間は居ない。という事は矢張り今の声は彼の物だ。江口 Aは酷く純粋な声音で問うた。
「………ビビってるのか?」
「黙れホルマリン漬けなんざ細切れにしてやる」
「それは生物教師が泣くから止めてやれ。」
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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時