25床に積み重なった物の一部 ページ26
〈また、駄目か。
手の平サイズの画面を眺めて小さくため息。相手の発言が表示される画面左側半分にはアイコンである彼の飼い猫、セリフ枠の中の「ごめん、その日は空いてないんだ」という言葉、ごめんねを表すスタンプがポコポコと表れたのは数分前の事だ。
勇気を出したデートのお誘い。
でも毎回彼方には予定がある。
浮気だとか無いーーーー無いと信じたいけれど。
送信の欄に打ち込むもう慣れてしまった文章。
【此方こそいきなりごめんね!
大丈夫、気にしないで〜】
……パソコンで言うバックスペースキーを連打。もう既読無視から5分経過している。
彼はそんな事気にする人じゃ無いからいいか。
【此方こそいきなりごめんね!
大丈夫、気にし】
【此方こそいきなりごめんね!
大丈夫、】
【此方こ】
「…………大丈夫じゃ、ないよ」
こんな画面越しじゃなくて面と向かって話したい。中学の時は恋人同士とかそんな関係じゃなかったのに一緒にいた。高校が違うとこんなに遠いの?会いたい、話したい。
【そっか〜じゃあ仕方ないね(;^_^Aまた時間のある時に!】
そう思ってる事なんて言えない。出せない。困らせたくない。ただ文字を打ち込むだけなのに、この指は怖気付くんだ。〉
〈雲の上には城がある。空飛ぶ大地。僕はそこに行こうと身を軽くした。みんなが僕に注目する。其処退け、其処退け、冒険者様の御通りだ。重たい剣は飛ぶのに邪魔だからすてる。鎖かたびらも。武器も防具も全部捨てて、スライムより弱い体で上へ飛ぶ為に窓から外へ。〉
〈はぁく、はぁく、はぁく、……はぁく、
呼吸を繰り返す。涙は止まらない。
はぁく、はぁく、はぁく、はぁく。
大きく口を開けて呼吸する。酸素は入っているのだろうか?
はぁく、はぁく、はぁく……
苦しい。喉が痛い。口角が上がらない。
はく、はく、はく、
どうすればこの痛みは
はく……はく、は
どうすればこの苦しみは
「ぼく、しってる、よ」
セイ、
「でも、おしえない」
なんで、セイ
「だって、流兄がわるい……でしょ、?」
「ぼくみたいに、しなかった、」
「いちばんじゃ、なかった」
「兄さんなのに」
ひゅっ
「「いちばんじゃなきゃ、だめなのに」」
五月蝿いって怒鳴りつけて、
頬を殴って、
腹を蹴って、
踵を入れて、
ナイフを刺して。
それが出来たらどんなに心地良いか考えて、
出来るわけ無いとまた金魚のように空気を吸う。〉
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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時