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22ヒントと擬物化 ページ23

紙を漁って5分、10分。時間が経過していく。15分。江口が抵抗の色を見せぬまま欠伸をする。20分。
指を縛られたまま、「鈍間め」と呟いた。痺れを切らしたらしい。

「ヒントだ、中原中也。このままでは日が暮れる。」

ポート・マフィアと知っていても、縛られていてもこの態度は揺らがないらしい。まぁ急にへこへこするのは此奴で言う『キャラ崩壊』なのかもな、と中原は思った。

「1つ。君が部屋に入った時、ようやくアレは書きあがった。

2つ。今日僕は万年筆のインクを取り替えた。

3つ目はーーーー君と出会った時に言った筈だから必要無いな。

さぁ探せ。」

「あらすじ教えろ」

「忘れた」

「糞が」

更に10分程の奮闘の結果、中原は一枚の其れらしき物を発見した。所々字が滲んでいて読み辛い原稿用紙。途中の句読点を軽く擦ってみると、指にほんの僅かにインクが付いた。

「此れか。」

題名が書いていないので1ページ目では無いらしいが、構うものか、と読み始める。

そして、

半分読み終える前に中原は江口の襟首を掴んだ。

情報源(ソース)は何処だ。」

江口は首を傾げて、笑う。

「何をそんなに慌てている?僕に双黒の存在が知られていた事か?其れとも君の相棒太宰治が組織を出た日の夜、君が秘蔵の葡萄酒(ワイン)ペトリュスを開け、一杯で酔っ払った事?

出会った時に言っただろう(・・・・・・・・・・・・)

『帽子だけ置いて帰れ』、と。」

中原は原稿用紙をくしゃり、と握り潰した。そこに書かれていたのは『帽子』が主人公の物語。途中からなので正確にはよくわからないが、登場人物は帽子の他に『包帯』、『黒外套』が居るらしかった。


〈黒外套はその身から獣を生み出し、帽子に襲い掛かった。手抜きは絶対に許されない。その瞬間待ち受けるものは【死】の一文字のみである。一方の帽子は体術で其れに対応した。自身の持つ能力、重力操作で処理してやっても良いが、其れでは黒外套の細腕などたちまちの内に破け散ってしまうと思ったからだ。〉


『太宰』『芥川』そして自分自身の事だと中原は直ぐに判断した。何故なら其れは、
自分が実際に経験した事だったから(・・・・・・・・・・・・・・・・)
何故江口がこのエピソードを知っているのか?調べたからに違い無い。では彼は此れをいつから知っていたのか?

『帽子だけ置いて帰れ』

もしも、最初出会った時既に知っていたとしたら。


「手前は何者だ?」

23「お察しだろうが」→←21「また一興」



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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時

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