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20「イカれてやがる」 ページ21

江口が空咳を繰り返すと同時にガシャガシャと机と椅子が耳障りな音を立てる。一方の中原は血を流す左手の甲の傷口を見た。結構刺しやがったな、と軽く舌打ちする。江口はくつくつと、到底世間一般の男子高校生らしからぬ、聞いている者を不愉快にさせる様な笑い声を立てた。

「………何が可笑しい。」

「ーーケホ、んん……君が、余りに単純過ぎて。」

拳を握り直して振り向く中原を指差し、「ほら、その反応も想像通り。」と楽しげだ。

人間(キャラクター)想像(筋書き)通りに動く様を見るのはとても楽しい。作者として当然の事だろう?」

首を絞めたダメージがまだ残っているのか、時折裏返った声で言う。

「イカれてやがる」

中原がそう呟くと、江口はまた馬鹿にした様に笑った。

「イカれてるのは君の方だ、中原中也。普通の男子高校生は軽率に人の首を絞めたりはしない。

その上、名前が知られているという危機も忘れ、僕を感情のままにこの机と椅子(がらくた)の山に叩き込み、みすみす解放した。僕のパソコンに送信予約されたメールも知らずに。」

話しながら鉄の筒と木の板の山から脱出を試みる江口。今度は中原が笑う番だった。

「メールだと?手前はSNS使ってねぇだろうが。その上送信する友人はいないときてる。その脅しはねぇな。」

「おや、マフィアを馬鹿にし過ぎたようだ。」

そう呟く江口の表情は全くの無だ。大方、あの返しは彼の筋書きから外れていたのだろう。立ち上がり首や肩をバキパキと鳴らした彼は、床を指差して言った。


「拾え、そして読め。」

21「また一興」→←19異常と血



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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時

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