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17屋上で ページ18

翌日、昼休みの事。中原は図書室に行かなかった。行った所でしょうがない。彼は学校全体を広く見れる場所を求めて屋上へ向かった。

「あ、京雅だ。」

「よぉ」

貯水槽の陰から顔を出した空見 流がパシャ、とシャッターを切る。

「データ消せよ?」

「ごめん、癖。撮られるの嫌だった?」

「まぁ、な。」

「ごめん」

マフィアだからあまり顔を晒したくない、なんて言える訳も無く、暫くの沈黙が訪れる。中原がグラウンドで走り回る男子生徒達を見ていると、ふと思い出したかのように空見は彼を呼んだ。

「京雅」

「何だ?」

何気無く振り向き、空見を見る。
その時俺は知らなかった。
想像すらしていなかった。
空見の口からその固有名詞(・・・・・・)が出るなんて。

「お話したい事がありますのなら、この学校から(わたくし)を見つけ出して下さいませ。

名も無き生徒より、


中原 中也様へ。」


次の瞬間、中原 中也(・・)は空見の制服の襟首を掴んでいた。掴まれた彼の表情は驚きの余りか呆然としている。当たり前の事だ、何故なら中原は下から梯子を使いもせず貯水槽の近くに着地したかと思えば瞬き1つの間に既に彼の眼前で白いシャツを掴んでいたのだから。

「その名を、何処で知った。」

中原は自分が想像よりもずっと冷静である事に気が付いた。静かに、抵抗しない空見に問う。
答えない空見にもう一度問う。

「何処で知った。」

中原は襟首を掴む力を強めた。
知らない筈だ。誰も、軍警ですらも。
つい最近の事だ。構成員の1人、芥川龍之介が軍警によって指名手配された。

俺はあんな丁稚とは違う。

自分は軍警に名前がバレるような、そして顔の特徴を知られるようなヘマはしていない。故に、だからこそ、一般人には知り得ない情報だった。

なのに。

この少年は何てことないように言ったのだ。まるで出席を取るかのように。

18知らない名前と呼ばせない名字→←16その日の放課後



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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時

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