12プレミアムシュウクリヰム ページ13
{「えっ何?」
「えっ、ああ、何でもないよ!」
「いやァ、今度やる役がちょっと暗めでさ?」
「どんな感じかなって思って」
「あはは、ごめんごめん、これが演劇部の本気ですよカッコどやあ」
「あはははは」
「ちょっ、ごめん、トイレ、行ってくる」
『今度やる役』は闇属性。イタイコトとか普通に言っちゃう、そういう意味では『暗』いかも。
でも会話の中で一人だけ笑わなかったりはしない。どこにも焦点の合わない目でぼうっとしてたりなんかしない。
今度やる役なんて嘘。
あれは『舞台から降りた僕』だ。
あんな暗い嫌われそうな、劣等感の塊みたいな僕を覆い隠せてしまう程、『演劇部』ってマントは大きい。
演劇部に入部届けを出した時。
僕は印鑑と同時にそのお面を貰ったんだと、
今更のように思った。
本物の僕が見えなくなるくらい。}
「また今回も暗ェな………」
「それだけ皆何か抱えているという事だ。……悩みのタネは似たり寄ったりだがな。」
あの契約から数週間後。
週ニで完成する小説のお陰で格段に捜査効率は良くなった。中原自身も嫌な噂が立っているところを張ったりして探している。
売り手の捜索は江口の創作で、売り場と買い手の捜索は中原が。分業は有難い。
……が。
「さぁ、今日はプレミアムシュウクリ
テキパキと万年筆を片付ける彼を中原は恨みがましく睨む。そんな視線を我関せずと完全無視する江口はご満悦だ。
「手前………」
「僕が完成させているのは週に2本だぞ。完成した都度要求しないだけいいと思え。」
「一回一回がたッッッけェんだよ!!!」
1000円超えは当たり前だ。中原からすればたかが菓子にそれだけ(他人の金を)注ぎ込む事が理解できない。そんな金あったら帽子に使う。
「今回のはコンビニスイーツだ。」
「お、手前もようやく『申し訳ない』って言葉を覚えたんだな。じゃあとっとと行こうぜ。」
校門を出た所で中原は右に、江口は左に曲がった。江口にこっちだ、と促され左へ進む。
「ここのコンビニにはねぇのか?」
振り向きもせず親指で指すのは【新発売 ほかほかブルーベリーまん】ののぼりを立てたコンビニチェーン店だ。
「ある訳ないだろう。行くぞ」
辿り着いたのは有名な菓子ブランドのロゴが描かれた工場。
「………製造元に何の用だ。」
「シュウクリヰムを買うに決まってるだろう。」
「幾つ」
「100個」
一個の価格は180円である。
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悠誠(プロフ) - コメント下さると嬉しいです!リクエスト等ありましたらお申し付け下さるととっても喜びます!! (2016年10月4日 15時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 再開します! (2016年8月16日 16時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - なんか更新出来ました (2016年8月14日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 帰省の為Wi-Fiが繋げないので更新が16日まで出来ません。申し訳御座いません (2016年8月13日 8時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
悠誠(プロフ) - 中原さんを軽率にオバケ苦手キャラにしてしまった……なんか体術が得意な人って物理攻撃効かない物(代表:幽霊)に苦手意識ある気がしませんか?国木田さんもそうですけど。(社長はその後光で幽霊さん浄化される。(確信)) (2016年8月8日 19時) (レス) id: d7a17771ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠誠 | 作成日時:2016年6月26日 19時