10話 ページ10
理由なんて、言えるわけないじゃん。
ムスッと黙っているけど、夏油もどく気配がない。
……。
至近距離でニコニコと見つめられてそろそろ限界だ。キャパオーバーで顔が真っ赤になる前に、私が根負けした。
「ああもう！ごめんって！
もう避けないから！」
だから退いてよ、と力なく呟く。
結局キャパオーバーで威勢のなくなった私を見て、満足そうにすると手をどかしてくれた。
「うん、今後しないならいいよ」
「ていうか悪いの夏油だから！」
ササッと距離をとってまた威嚇すると
ん？と、にじり寄ってくるものだから口を閉じる。
もう言わないから、離れろ
と意思表示をすると
「はは、残念」
なんて笑って足を止めた。
なに、残念って。
大人夏油は女性経験値を上げたのか、はたまた私のフィルターがかかってるせいか。
心臓に悪いな。
「友達にそういうことするもんじゃないよ、女たらしが！」
「そうだね、ごめん」
気をつけるよ、とあっさり肯定して引き下がる夏油にチクリと心が痛む。
「私もちょっと焦りすぎたかな。
まだ心配なことはなさそうだし。」
「…何が？」
「いや、何でもない。
でもよかった」
「…だから何が？」
「昔のままの君にまた会えてよかったってこと。」
「今さら何？」
会話してるのに、全くキャッチボールができてない。
ハテナを浮かべてる私を見て少し笑うと
「28歳の君だったら敵う気がしないから。」
と頭をポンポンされる。
「またバカにした！」
「してない。よかったって言ってるだろう」
「だからそれがバカにしてる」
結局、いつもみたいに戻ったけど
私は気づいてしまった。
さっき意気込んだばっかりなのに。
結局、まだ夏油が好きだ。
でも夏油が望むように、私も望んでいるように
友達として仲良くしたい。
気づいた気持ちにそっと蓋をした。
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アリア(プロフ) - おとても、好きなお話です。更新楽しみにしています。 (2022年9月13日 7時) (
レス) @page19 id: a6acf319a5 (このIDを非表示/違反報告)
莉乃(プロフ) - すごく面白いです〜！！もう、大好きです❤️♥️❤️ (2022年2月25日 11時) (レス) id: d96deb1772 (このIDを非表示/違反報告)
皐摩(プロフ) - 好き！！！！！！(クソデカボイス) (2022年2月16日 18時) (レス) @page16 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - あぁなんて素晴らしき作品♡♡願わくばこのまま幸せにイチャイチャしていて欲しい♡♡続きがとっても気になるけど夏油さん推しとしては幸せになれただけでも良しかなって感じもします！ (2022年2月15日 0時) (レス) @page16 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - もう幸せすぎてニヤけが止まりません！こんな神夏油さん作品を作ってくれてありがとうございます！ (2022年2月15日 0時) (レス) @page4 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬし | 作成日時：2021年8月29日 19時
