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「じゃあな、信介。」
「大耳か。おん、また明日。」
放課後になり、荷物を机の上に置いてから昼の銀の言葉を思い出して「せや、部室行かな…」と呟くと急に視界が真っ暗になった。
[だーれだ?]
何となく、微妙に手の指先が上を向いている気がするから俺よりも身長の低い人物だと予測した。
「…A?」
そう言うと視界が明るくなり、後ろからニョキっと首から一眼レフを提げたAが現れて頬を膨らませる。
『もう!何ですぐ分かってまうん!?』
『おもんないわ〜』と言って身を震わせるAに双子の金髪の姿を重ねた。
「俺より身長低い人なんて限られとるし何より、特別匂いせんかったからな。」
『エッそんなん名探偵か犬やんか!信兄ちゃん!!』
Aはクワッと目を見開いてそう言うと、『せや、早う着いてきて!』と俺の手を引いた。
片手でバッと荷物を掴むとあと数ヶ月で卒業する稲荷崎高校の廊下を兄妹2人で歩いた。
俺の手を取って前を歩くAは、昔の泣き虫とは程遠く凛としていて、その背中は大きく見えた。
部室の前に着くといきなり背中をグイグイ押されて、『信兄ちゃん、先入ってえや。』なんて言うから「何でや」と聞くと『誰か着替えとったら嫌やん?』と正論を言ってくる。まぁ確かにそやな。
「じゃ開けんで。」
そう言ってドアノブに手を掛けるとバチッと言う音がして思わず手を引っ込めた。
『うわぁ…嫌や、静電気や…。』
Aの嫌そうな声を背中に聞きながらもう一度ノブに手を掛けてドアを開けた。
ドアを開けた先にはカシャカシャというシャッター音とパンパンッとクラッカーが鳴り響き、" 主将お疲れ様 "の文字が書かれたチョコプレートの乗ったケーキが。
惚けてそれらを眺めていると、肩を叩かれて後ろを振り向く。
『信兄ちゃん驚いたでしょッ!!』
べちゃあ、という音と共に顔が重たくなる。
「エッAそのパイ投げるように作ったん!?」と焦った様な治の声。
それにAが『うんそうだよ』と平然と答えると目を開けるように言われた。
『流石信兄ちゃん、いい顔だねー!』
「おま、アホやん!?エッ、エーッ、どないしよ…。」
青ざめて隠れ場所を探す侑と、それを無視して一眼レフにクリームまみれの俺の姿を収めるAのアホコンビに思わず笑ってしまった。
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花 - 角名君の双子(女の子)と研磨の双子(女の子)お願いしたいです! (2020年11月22日 2時) (レス) id: a08fd39532 (このIDを非表示/違反報告)
川白 - 国見くんの義姉、お願いします! (2020年8月23日 10時) (レス) id: 86245055db (このIDを非表示/違反報告)
ばなな味のあくえりあす - 宮兄弟の妹、星海くんの妹、大地さんの妹のお話書いてほしいです!! (2020年6月24日 3時) (レス) id: a72f134362 (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - とても面白かったです!更新頑張ってください!待ってます! (2020年3月25日 12時) (レス) id: eb111e24a3 (このIDを非表示/違反報告)
スナッチ - 前にリクエストした、 佐久早×従兄弟を書こうとしてくださってありがとうございます!! これからも応援をして、少しでも元気になってくれると、嬉しいです (2020年3月19日 14時) (レス) id: 9c5bac3c4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LigtTrrrttt | 作成日時:2019年6月22日 0時