【月刊少女野崎くん】世界は一度に動き出す。【番外編集】 (ページ4)

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【演劇部】私を舞台につれてって・1 ページ4

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story of＿＿＿

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「…………にゅうぶ、」

入部、届け。

姉の学校では欲しい生徒が職員室に取りに行くらしいけど、この学校は部活に入る生徒が多いからと、とりあえず全員に配ってしまうそうだ。

前の席から回されて、数時間が経ったその紙を眺める。周囲は慌ただしい帰りの準備とおしゃべりで賑わっていた。

入部、届け。

おおきくそんな文字が印刷されていて、次に一段階小さな文字で＿＿＿部への入部、そして年組出席番号と、名前。

あとは担任と顧問のサイン――たったそれだけの質素な紙。一体何人が今日のうちにこの紙を捨てて、何人が張り切って名前を書くだろうか。

私は重い鞄を開いて、その紙を畳んでポケットに仕舞った。

ファスナーが閉まって、空間は遮断される。

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部活のたぐいには興味がなかった。入学式の日にはワイワイガヤガヤと部活勧誘の先輩達が怒鳴ったり叫んだり、あるいはパフォーマンスをしていたけれど、うるさかったから足早に抜けたのだ。

だから、隣の席の男子が大量に持っているチラシも、後ろの席の女子がかっこよかった先輩の話をしていても、私にはそれが何もなかった。

「部活くらい見てみたらいいじゃない」

姉は晩御飯のアジフライをつつきながら言った。

「そりゃ中学はまともに部活なんかなかったからしょうがないけど。でも私立だよ、部活もいっぱいあるでしょ」

「ん……でも、興味なくて」

「いつもそうよねー。踏み出すの遅くて、一体何回後悔したの」

「…………」

反論などできなくて黙り込む。何もかけないアジフライの、そのままの味さえあまり感じなくなっていった。

「もう、夏海もいい加減にしなさいよ」

「わかってるよー。でも私だって春海のこと考えてるんだから」

「それにしたって、もっと言い方があるでしょう」

「……いいよ、お母さん。お姉ちゃんの言うとおりだもん」

ちょっと席空けるね。そう言って私が立ち上がり、リビングを出て自室に向かうまでの間、母も姉も何も言わなかった。

わかってる。わかっているのだ。

自分に、勇気がないことくらい。

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