【月刊少女野崎くん】世界は一度に動き出す。【番外編集】 (ページ18)

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Trick so Treat?・5 ページ18

*

装飾した部室の前では、こちらも各々仮装をした衣装係が待ち構えていた。

鹿島くんの姿を見て、ニヤリと笑う。

「鹿島くん、ちょーっとじっとしててね～」

「え？あ、うん……」

「上代、いいわね？」

「了解です」

ばさっとマントを広げ、鹿島くんの頭の上に王冠をのせる衣装係から少し距離をおく。

私達は先ほどと同じように、部室の扉の両脇に立った。コンコン、と坂巻さんが合図のノックをする。

「到着した」

「オッケー」

高木くんの声。鹿島くんは気づいておらず、ただ即興の衣装を見て少し楽しそうな表情をしていた。

「これ、中でみんな仮装してるんですよね？」

「さあね？」

「できました」

ぱちりとウインクをした、鹿島くんの後ろの衣装係。それを合図に、部室の扉を開く。

――さあ、入ってください。

「――名を聞こうか」

部室の中。鹿島くんが足を踏み入れると同時に、そんな台詞が聞こえてきた。

あ、と声をもらす。

「……名乗る名なんて無いね」

「そうか。それなら仕方がない――」

部室と空き教室の机を持ってきて、板を上において即興の舞台を作るんです、と私は言った。

それでどうすんだ、と怪訝そうな表情をするのが部長。もちろん、笑って答える。

部員も皆喜ぶだろうし、上手く使えば宣伝にだってなります。そして、何よりの――

「……堀先輩？」

「今日だけの特別ステージですよ」

キラキラとした瞳の彼女に、そっと呟いた。

いつだって主役はあなただ。だから、あなたが主役になれて、なおかつあなたが一番喜ぶものを用意したいと思ったのだ。

堀先輩の演技が見たいです、といつかあなたは言った。

「いざ、勝負で決めようではないか！」

「ああ、そうだな。でも――こっちは人が足りない」

少し意地悪そうな表情で、彼はこちらを見た。

「来いよ、鹿島」

悪い魔女が言っていた。

だから子供は言ったのだ。

お菓子くれたからいたずらするよ！

*

鹿島くんオメデトー。冗談じゃないくらい日付経ってて申し訳なさでいっぱいです。

この後演劇部は先生にすこーしお説教されたりすると思いますが、まあ楽しかったので多分へっちゃらです。
鹿島くんが一番欲しいものってなんだろう、と考えた結果こうなりました。

次はなんとなくの繋がりで童話パロとか出そうかなぁと。多忙ゆえどうなるかわかりませんけどね。

11.20

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