【月刊少女野崎くん】世界は一度に動き出す。【番外編集】 (ページ16)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:5,914 hit

Trick so Treat?・3 ページ16

*

「ちょっと、ああもうダメでしょ！ちょっとこっち来て、鹿島くんも!!」

「え？はい？」

開けた瞬間に、中から首を突っ込んできたのは高木くんだった。

本当にもう！はいはいはい！なんて急かすように私達の進行方向をぐるりと変えて、いそいそと後ろ手に扉を閉める。鹿島くんもひたすら困惑顔だった。

「えーと、高木先輩……？」

「鹿島くんはあっち向いてて！ちょっと、上代ちゃんっ」

「え？ああ、はい」

鹿島くんに背中を向けて、ぐっと内緒話の格好。……まったく状況が飲み込めない。

「坂巻に聞いてないの!?」

「え、いえ……これから坂巻さんに聞きに行くところで……」

「ったくもう！坂巻のやつ何て言ったの！」

「鹿島くんに私を呼べと伝えたそうですが」

「ああ……！」

とにかく、上代ちゃんあのね、と彼が言いかけたところで。後ろから声がした。

「先輩ー、私先に入ってていいですか？」

「あああダメダメ!!」

「えっ？」

「あの高木くん、」

「鹿島くんは堀ちゃんのとこ行ってて!!」

何でですか、と怪訝そうな鹿島くんだったが、珍しく大きな声の(と、言ったら俳優である彼には失礼かもしれないが)高木くんに「早く!!」と言われてわからない顔のまま小走りで行ってしまった。

彼女の背中が見えなくなった後。

「……あの、高木くん」

「うん」

高木くんはいたずらっぽい顔をして、にっこりと笑った。

「秘密だよ」

*