【学校の七不思議】天下無双冒険譚【企画小説】 (ページ12)

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#10【第三者】ページ12

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天華夢蒼が“伝説”と言われる所以、それを支えるのはメンバーの仲の良さと言える。

仲間の危機には命すら投げ出すことも厭わない、彼らの中にはそう考える者もいた。

彼等は所々に血を浴びたまま、それから終電に乗って、とりあえず桜坂高の最寄り駅に着いた。

ここからは各々電車だったり自転車だったり、徒歩で帰宅したりと帰宅方法は違う。

時間にゆとりがない涼、朱里、真砂ら電車組を見送ると残りの面々は再びコンビニに行くことにした。

思い思いに好きな物を買い、この先の三つ角で別れるまでは一緒にいるのがいつものコース。

「いらっしゃいあせー」

深夜、眠そうな店員の声が迎える。

皆いろいろあった夜に疲労を覚えていたからか、普段に比べ会話は少ない。

一同は店に入り、ルカは何の気なしに通って来た暗い路地に目をやった。

見覚えのある人影。

「あれ、あそこにいるのは……」

その呟きは彼女に聞こえたのかどうかは定かでは無いが、彼女はスタスタと歩いて行ってしまった。

彼は怪訝に思ったものの、最早小さくなってしまった彼女の姿を追うことはしない。

「ルカー、どうしたの？」

「いや、さっき向こうに栞里がいたんだけど……あっという間にいなくなっちゃった」

「げ、栞里？私夏休み前に壁壊しちゃったから……、会いたくない～」

「美海、相変わらずだね。でもあんなに優等生ちゃんがこんな夜中にいる？」

「るーちゃん。どしたの？栞里……って」

「今栞里がいたんだ。すぐ向こう行っちゃったんだけどね」

「栞里がいたんじゃさー、先に明日のこと聞いとけば良かったのに～」

「あたし一人じゃ口説くのは無理だって！」

こうして、彼等の夜はゆっくりと更けていった。

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