第142話・風丸の脱退 ページ2
その夜、風丸は荷物をまとめてキャラバンを降りた。ふと自分の名前を呼ぶ少女の声がした。
「風丸…」
「…A、か…」
「キャラバンを下りるの？」
「ああ。――本当は誰にも会わないつもりだったんだ…お前は本当に察しがいい奴だな」
それだけ言って風丸はAに背を向け駅を向かおうとする。
「…約束……」
「！」
Aの呟いた言葉に彼の足は止まった。
「私は、まだ…聞いてない…」
「……――悪い。…約束、なかったことにしてくれ…」
「……」
「俺は、お前みたいに強くない…」
「私は強いの…？」
「そうじゃなかったら、俺たち…いや、お前がジェネシスから点を取るなんてこと出来るわけない。――今までずっと俺たちを騙していたんだろ？」
「違う」
「何が違うっていうんだ…？ 本当はジェミニストームもイプシロンも鼻から相手にもならなかったんだろ？」
「風丸…」
「楽しかったか？ 俺たちみたいなレベルの低い奴がボロボロになっていくのを！ ……―――！」
いたたまれな思い、弱い自分へのいら立ちをAへぶつける風丸。振り返りAの顔を見た彼が目を見開いて息を呑んだ。そこには音もなく涙を流すAがいた。呆気に取られ固まる風丸。自身が涙を流していることに気付いていないA。
何か言葉をかけなくては、と風丸の口が開閉する。が彼は奥歯を食いしばり言葉を飲み込んだ。
(今の俺に…Aにかける言葉なんて、ないじゃないか…。それに泣かせたのは…俺じゃないかっ…)
自己嫌悪で辟易する風丸は、Aに背を向け「ごめん…」と小さな声で謝り走って陽花戸中を後にした。
誰もいなくなり静けさだけが残るキャラバンにはAがたたずんでいた。
「…それ、違うよ風丸」
――すべてを知りながら目を逸らし続けたのは私だ。だけど、私は…君たちの成長のためにも……私は、悪魔にだってなれるよ。
「―――ごめん」
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活字不足卍(プロフ) - 若者よ、歯磨きは大事だ。歯だけは、大切にしなさい。 (2022年6月9日 1時) (
レス) @page50 id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
田中優香(プロフ) - 今後の展開に目が離せません(更新ありがとうございます！) (2021年2月25日 0時) (レス) id: da5dc9d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
焔 - 更新ありがとうございます！！！すっっっっごく好きな作品なので嬉しいです！！！ (2021年2月25日 0時) (レス) id: 3ce071c9ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 更新したー!!めっちゃ楽しみしてました！ありがとうございます！続きも気長に待ってます！ (2021年2月24日 2時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
田中優香(プロフ) - 続きが気になる(いつでも更新待ってます！) (2020年12月31日 15時) (レス) id: da5dc9d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：活字不足卍 | 作成日時：2019年10月11日 19時
