第138話・吹雪アツヤ ページ45
吹雪は立向居の呼んだ救急車で病院へ運ばれた。診断は監督である瞳子が聞いただけで円堂たちは詳しくは知らない。
「でもよかったわね、大事に至らなくて」
「ええ…」
吹雪の横たわるベッドを核むように雷門イレブンは病室へ入る。
「…俺たちがいけなかったでヤンス」
「え、」
「俺たちが止められなかったから吹雪さん、無理をして…」
自分たちを責めるディフェンス陣。その表情はとにかく悔しそうで。
「あの！」
少しオドオドしながら春奈が声を上げる。
「吹雪先輩…本当にボールを取りに行っただけなんでしょうか？」
「どういうこと？」
「あ…いえ……ただちょっと…」
珍しく歯切れの悪い春奈に痺れを切らしたように円堂が「なんだよ、音無」と聞くと春奈は意を決したように言葉を続けた。
「私、少し怖かったんです…。あの時の先輩の顔…」
流星ブレードを受けた時の吹雪の顔が全員の脳裏に過る。
「確かに。見たことない顔してたな…」
「それに、イプシロンと戦った時も…。ボールを持ったら感じが変わるのは何度かありましたけど…あの時は、妙に気持ちが高ぶってたように…」
春奈の言葉を聞いて円堂は思い出したようにハッとする。
「どうしたの円堂くん？」
「実は俺イプシロン戦の後、吹雪に聞かれたんだ。僕変じゃなかった…って。
━━━でも俺何か上手く答えられなくて…」
━━━変？ そんなことないよ。お前のおかげで同点に出来たんじゃないか！
「もしかして吹雪のヤツ…相当悩んでたのかな…」
円堂は吹雪の悩みに気付けなかったことに罪悪感を感じ俯く。
静寂に包まれる病室に鬼道が瞳子は何か知っているんじゃないか、と指摘した。
その言葉に吊られるように全員が瞳子を見つめた。瞳子は視線を逸らしていた目を円堂たちに向け語り出した。
吹雪士郎には弟がいた。
ジュニアチームで士郎と共にサッカーをプレイし、兄である士郎がボールを奪い。弟であるアツヤがシュートを決める。完璧な連携の出来るDF、FWのコンビであった。
だがある日、事故が起きた。
サッカー試合の帰り、雪崩に遭い運よく車内から投げ出された士郎は助かったが、両親とアツヤが亡くなった。
第139話・アツヤの存在→←第137話・ザ・ジェネシス戦 その6
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
suraimu471(プロフ) - 世界だけ。つまりFFIでは本気の主人公が見れるのだな。この時点で世界級ならほかのみんなよりも一歩分強くなりそう。 (2019年10月11日 8時) (
レス) id: 8c6c5cc2e1 (このIDを非表示/違反報告)
カナト - お久です!!名前アリアからカナトに変更しました。これからは、カナトとしてよろしくお願いします。(ダイヤモンドダスト戦楽しみにしています。) (2019年10月10日 18時) (レス) id: baae3e32b1 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - こんにちは！おかえりなさい！と言っていいですかね！？更新待ってました(*´ω｀*)これからも頑張ってください！ (2019年10月9日 19時) (レス) id: d3fece9e75 (このIDを非表示/違反報告)
水銀(プロフ) - コメ返しありがとうございます！推しが2人なだけでみんな好きなのでどんなエンディングでもハイテンションで読ませていただきます！誰とも付き合わないというのもいいですねぇ！主人公らしくてとても好きです！！ (2019年8月17日 2時) (レス) id: 78abf1c607 (このIDを非表示/違反報告)
水銀(プロフ) - ここまで一気読みしてしまいました！主人公の葛藤とても心に来ました…！続きとても楽しみです！！PS.落ちはもう決まっていらっしゃいますか？私、豪炎寺と鬼道推しでして… どちらか落ちだと良いなと勝手に思っております！是非考えてくださると嬉しいです！ (2019年8月13日 1時) (レス) id: 78abf1c607 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：活字不足卍 | 作成日時：2019年8月8日 4時
