第290話・招待 ページ28
無論、未成年を巻き込んだ犯罪はブラジルだけに飽き足らずイギリスであってもアメリカであっても変わらない。だからこそ選手たちは妙な噂を立てられないためにも路地を通る時も気を遣っているのだ。
傍から見ればロニージョが無理矢理Aを路地へ引きずり込んだ(事実だが)ように見えてしまう。それはロニージョとしても避けたいことだったろう。
「九重！」
「？」
「俺は君に！」
「？」
「きみにっ……」
言い淀むロニージョ。首を傾げていたAは「ガルシルドのこと？」と口を開き、ヒュッとロニージョは息を飲み顔が真っ青になって口元を抑えた。
その顔はまるで目の前でウサギがライオンに頭から丸かじりされているのを見ているかのようだ。
「……ついてきて」
「！」
とAがロニージョを案内したのはイナズマジャパンの宿舎の裏の扉。
「勝手にいれたら君が監督に怒られないか？」
「ヘーキヘーキ。バレなきゃ大丈夫！」
サムズアップして得意げにキリッと言うAに「そ、そうか…」と返答に困るロニージョであった。
通されたのは個室。そこには向かい合わせの椅子と一つのロッカー付きの机、冷蔵庫が置かれているだけの空間で誰の部屋、というよりは客室かただ1人になるダメだけの空間のようだった。
「とりあえず座って。水でいいかな？」
「いや、大丈夫だ」
「水の一杯でも飲んで。落ち着くから」
「……ありがとう」
ロニージョの心境を察してなのかAはロニージョにコップに入った水を一杯渡し、ロニージョは彼女の気遣いを無碍にすることはせず水を一気飲みした。
冷蔵庫でキンキンに冷えた軟水の水がスルリと緊張で固まった喉につっかえることなく通り、後味がスッキリした水に目を瞬かせた。
ロニージョが水に驚いている間にAは、机の引き出しから何やら黒い物体を出し、部屋をぐるぐると周回し始めた。
「何をして」
「シッ。黙って」
「！」
先ほどの意趣返しかのように言われほんのちょっと傷ついたロニージョ。
「よし、盗聴器はないね」
「盗聴器？！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 734人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小町 - この作品が完結したら引退なさるんですか！？(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡GOなどのお話は書かれないのでしょうか？主さんの作るお話はとても面白くて読んでいて楽しかったので残念です完結まで頑張ってください!この小説が大好きです！！！ (11月19日 20時) (
レス) id: b2c10b1855 (このIDを非表示/違反報告)
推ししか勝たん - この作品が大好きです。言いたいことは沢山あるのですが長くなりすぎるのも迷惑になってしまいそうなので簡潔に。主人公ちゃんのこれからをずっとずっと楽しみにしています。作者様が無理をなさらない範囲でこの作品が長く続くことを楽しみに、応援しております。 (11月5日 2時) (レス) @page27 id: 784e24571d (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - ほとんど前触れがなく気づいたら不動が推し活を始めていた！シリアスよりシリアルな主人公ちゃん好き、確かに主人公がドMでないところ以外は確かに類似している！ (11月4日 20時) (レス) @page27 id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：活字不足卍 | 作成日時：2023年11月1日 17時
