第160話・私がサッカーをする理由 ページ25
円堂は無邪気な笑みを浮かべシュートを止めた。
円堂が怪我無く無事だったことや、シュートが入らなかったことにホッと一安心したチームメンバー。
「みんな、ピンチを凌いだぞ！」
と円堂はボールをゴールからドリブルをしながら走り出した。
「行こうぜ！ みんな反撃だー！」
円堂の背中が過ぎ去って行く━━━━━━。
「あっ」
あ、ああ… あ あぁ━━━━━嗚呼、そうだ。そうだった…。私、私は…
「えんどうと、サッカーが…したい…」
膝から崩れ落ちそうになる感覚を覚え、そこに立ち尽くす。
けれど試合は、進んでいく。
フィディオがチームKをあっという間にごぼう抜きし、まさに白い流星にたがわぬ実力を見せる。
鬼道が、佐久間が、不動が、フィディオが、円堂がゴールを目指し走って行く。
真っ直ぐ突き進んでいく。━━━━━自分を置いて。
円堂がメガトンヘッドをシュートをし、追加点を挙げた。
追加点を挙げたオルフェウス。ベンチにいたメンバーも喜びを露わにする。
そして自身のポジションへ戻って行く円堂たち。
じっと動かず俯いているAに駆け寄った。
「どうしたんだ、A？」
「………」
私情で…私情でサッカーをした。
円堂から散々サッカーは11人でやるものだって、教わって来たのに…
なのに、私は自分の感情だけで1人でゲームをした。
「わたし……円堂とサッカーする資格…ないよっ」
「何言って…」
「だって、私…あの人と同じになっちゃった…
勝つことが、全てなんて…思ったこと、なかったのに…なのに、なのに！
━━━━━━思ってもいないこと言っちゃった！
こんなんじゃおかあさんに顔向けできないよ！ 応援してくれている人たちに示しがつかないよ！
君の隣で、ずっと夢を見ていたかったのに…っ情けなくって…死んでしまいたい……」
喉に息が詰まり、窒息しそうなくらいの重い感情。
その涙に濡れ、頬を伝い一つ、零れた。
「そんなのよくあることだろ！」
ニカッと笑う円堂に目を見開いて幾度となく瞬きをした
目に溜まった涙が大量に零れていく。
第161話・なんだ、ただのツンデレか→←第159話・負けなければ…一番に、なれるのに
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 499人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
皇(プロフ) - 一番最初から全部読みました。最高です。しかもまだまだ続く…！やっと追いついたので本日の一言も始めてみましたがとても面白かったです。これからも更新頑張ってください！✨ (2022年9月22日 9時) (
レス) @page38 id: 84ae00d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ(プロフ) - 本日の一言が好きすぎる (2022年9月14日 23時) (レス) @page23 id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：活字不足卍 | 作成日時：2022年9月11日 16時
