転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ8)

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第148話・約束ページ8

「ついにここまで来たんだ…」

　控え室からフィールドに続く廊下の近くで会場の様子を見ていたAに背後から風丸がやって来て彼女を呼んだ。

「A…」
「風丸、どうしたの？」
「…いや。俺…去年の冬にお前が言っていたこと思い出したんだ」
「？私は何か言ったかな？」
「覚えてないのか？」
「？？」

　Aは純粋にあの出来事を忘れている様子だ。風丸はそれに気づき頭を掻いた。

「はぁ～…そういうところあるよな、A」
「え、なに？！私何か変なこと言ったの？！風丸が女の子みたいとか！」
「それはいつも言ってるだろ！ってそんなんじゃなくて…！去年の期末期間に『来年は絶対雷門中がフットボールフロンティアで優勝する』って意気込んでたじゃないか」
「あ…あー、あー…そ、そんなこと言いました…ネー(やっべー忘れてた)」
「…俺、それ実現したくてさ。だから…―――」

　―――見ていてくれ。
　優しく尚強く微笑む風丸の顔は、男らしく見えた。

「もちろん。…約束だよ」

　―――どんなに泥塗れでもズタボロでも、必死になっている人は美しい。君たち、雷門イレブンは特にそうだ。どん底にいるほど、強く美しい。泥塗れな姿が愛おしくて堪らない。

　風丸の決意の笑みに笑顔で答えるA。すると風丸は笑みから一点、顔を逸らして「それともう一つ…」と言い始めた。

「？なに？」
「あの…その…」

　風丸が言い渋っていると、背後から円堂が走ってやって来た。

「円堂！」
「どうした？」

　円堂は風丸に、宮坂のことを聞きたいようだ。風丸は宮坂は言葉で通じるような人物ではないことを知っている。

「だからサッカーで答えを見せてやるつもりなんだ」
「え！それじゃあ…」
「ああ。俺が今日ここにいるのは…サッカーをするためだ」
「そうか！そう決めたんだな！」
「何故サッカーをやるのか…俺自身が答えを探しているのかもしれないな」
「その答え、ここで見つけられるといいね」
「ああ！」

　風丸の覚悟も決まり雷門イレブンはグラウンドに入り、試合前のウォーミングアップを始める。
　観客はすでに入り始めており、ウォーミングアップ中だと言うにも関わらず歓声が上がっている。そんなウォーミングアップしている最中に、突然乱入してくる者がいた。