転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ5)

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第145話・力のない笑みページ5

風丸と共にサッカーの練習に戻る。円堂は気にしている様子はなく、遅いぞっと注意する程度。豪炎寺は風丸に「あの一年に何を言われた？」と聞くが風丸ははぐらかした。

「アイツ、何してたんだ？」
「…試練、だね」
「試練？」

　土門に問われ不敵な笑みを浮かべて答えるA。
　響木から豪炎寺と風丸に『炎の風見鶏』の指示が出る。早速練習に取り組むが『炎の風見鶏』は何度繰り返しても不発に終わる。

　やけに息切れをする風丸に豪炎寺が「意外と分かりやすい奴なんだな」と呟く。

「何が？」
「陸上部に戻ってきてくれとでも言われたんじゃないか」
「……」

　全くその通りで、豪炎寺に言い返せるわけもなく風丸はふっと力のない笑みを浮かべた。

　その夜―――雷門中の理事長室では、鬼瓦が理事長を訪ねていた。

「イナズマイレブンのデータが消えていた件ですがね、影山の仕業ですよ」
「やはりそうでしたか…」
「奴はイナズマイレブンのメンバーです。そしてそれを証明するものすべてをこの世から消している。ただ九重Aが九重本家から持ってきたデータは、さすがに予期していなかったんでしょうね」
「なるほど」

　鬼瓦は、影山が中学サッカー協会の副会長であることを理事長に問うた。理事長は影山からサッカーへの「強い想い」を感じた為、副会長に任命したそう。鬼瓦から言わせればその「想い」は強すぎるそうだ。

「彼が何か？」
「具体的にはなにも。ただ…サッカーの話をするときのヤツの目はゾッとしますよ」

　帝国学園での騒動以外にも余罪は多くある影山の事情聴取では、黙秘を続けているようだがサッカーに対しての質問をするとサングラス越しでも分かるほどの憎悪を抱いていると言う。

「憎しみですか…」
「奴の目がね…。そう言っているように思えてならないんです」

　聴取室でのことを思い出しながら鬼瓦は言う。理事長はあることが気になった。

「九重Aさんに対しては？」
「彼女ことは一切。名前すら発しません。響木から聞いてみれば帝国戦でも接触をしていなようです。自分の娘すら切り捨てることの出来る男です、まだ何かしでかす可能性も…」

　鬼瓦の心残りは帝国学園にハッキングしたときに目撃した「プロジェクトZ」だった。ただ鬼瓦も、理事長も知らない。血縁であるAを守ろうとしている影山の本心を――。