転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ4)

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第144話・彼女の瞳ページ4

「そういえば風丸さん」
「？」
「ウチにはいつ戻るんですか？」
「え…」
「やだなあ！サッカー部助っ人だって言ってたじゃないですか！」

　笑顔で帝国戦での助っ人の話を持ち出す宮坂。彼にはまったくの悪意も悪気もない。ただそこにあるのは風丸への尊敬が仇となった無邪気で純粋な心である。

「助っ人…か…。そうだったな…」

　自分でも気づかなかった。円堂たちとサッカーを陸上部で走ることよりも楽しんでいたことに。宮坂に言われて気づかされた風丸は、陸上部への想いとサッカーをする楽しさに揺れ始めた。

「行ってきなよ」
「！ A…」
「久しぶりなんでしょ。後輩にサービスしてあげな」
「……ああ。じゃあ…」

　後ろめたさがあるのか眉を眉間に寄せ困ったような表所をする風丸。
　―――いやいや、そんな情けない顔は男がするものじゃないよ、風丸。

「遅れるって円堂たちには言っておくから」

　笑顔で見送るAに毒気を抜かれたように宮坂と共にグラウンドを後にする風丸。そんな風丸の後ろ姿を豪炎寺が見つめていた。

「なあA…風丸のヤツ」
「いいんだよ。壁は誰かが砕くものじゃない、自分で乗り越えるものだからね」
「！！―――」

　彼女の言葉に豪炎寺は察する。今後、風丸に降りかかる壁を。どんなものなのかは理解できない。だが、彼女が風丸であればしっかりと答えを出すことを信じている、という瞳をしている。だから自分は風丸が自分で乗り越えるのを待てばいいことを理解する。

　円堂に風丸が遅れることを伝える。だがしばらくしても風丸は戻ってこない。

「風丸…どうしたんだ？」
「久しぶりの陸上部だから、みんなに囲まれて大変なんじゃない？」

「う～～ん」と唸る円堂にAが笑いかけて「心配なら呼んでくるよ」と言うと円堂が頼む、と言ってAに風丸を呼びに行かせた。
　校舎裏に面している陸上部のトラックでは、今まさに風丸と他陸上部の部員たちが走っていた。

「……」

　陸上部の部員たちに囲まれる風丸。Aの視線に気づいたのかAを見つめる風丸。
　ふと、昨年の冬期末期間中に一緒に帰ったことを思い出した。彼女はあのとき…フットボールフロンティアで優勝すると言っていた。まさか――ここまで来ることを読んでいたわけでは…？と頭によぎる。