転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ17)

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第156話・決定力ページ17

秋がホイッスルで休憩を伝える。春奈は準備したスポーツドリンクを渡し、夏未はレモンの蜂蜜漬けを差し入れた。

「よーしっ！また練習だぁ！」
「「おおーっ！」」

　再開された練習。すると秋と春奈が円堂に駆け寄り、円堂が豪炎寺、土門、Aを呼び出した。

「円堂、本気に無限の壁を突き崩す気か？」
「ああ！正面からズバーンッ、と！！」
「今の俺たちに出来んのかね……」

　土門の不安は最もだった。パスもまともに通らない中、試合を前日に控えた雷門。新必殺技があっても無限の壁を破れるかは危うい状況だ。

「千羽山は確かに得点力で欠けるけど、1点取れば確実に勝てる。攻撃は重要だ」
「Aなら、千羽山のデータ持ってないか？」
「あるよ」
「そうだよなー、ないよなー……ってあるのかよ？！」

　ないとばかり思っていた土門。だがAはあっさりとデータがあることを肯定した。

「どんなデータだ？」
「データと言っても目視だけどね。強さで言うならそうだな…野生中くらい」
「野生中？だったら俺たち負けないんじゃ…」

　野生中とは地区予選一回戦で戦い勝っている、ともなれば自分たちは勝てると過信する。

「強さってだけ。野生中の特徴は個人技。それぞれの身体能力の高さゆえの強さ。帝国並みに強いのは知っているだろうけど、決定力がない。けれど千羽山の決定力が―――」
「無限の壁ということか」

　豪炎寺の言葉に頷く。

「千羽山の一回戦の相手は攻撃的なチームで、去年帝国と準決勝で戦うほどの相手だったんだけどね。それでも無失点ってことは、それだけ無限の壁には勝敗を決める決定力があるってこと」

　千羽山の一回戦の相手は、アニメでは描写されなかったが攻撃的な攻めの多いチーム。去年帝国学園にボコボコにされ更にシュートを強化し今年こそ優勝を狙っていたのだが、一回戦の相手が無限の壁を使う千羽山。
　千羽山は確かに強いチームではないが、守りという意味では全国トップレベルである。

「大丈夫さ。俺たちには炎の風見鶏だってイナズマ1号だってある！」
「決められればな…」
「気合があれば何でも決まるさ！」
「精神論だね」

　円堂の言葉に、豪炎寺も土門も何も言えずにいる。秋に関しては呆れているようだ。