転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ15)

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第154話・帝国vs世宇子ページ15

全国大会第一回戦、帝国学園対、無名の学校世宇子中学との試合が今か今かと始まろうとしていた。前日の試合で雷門がすでに二回戦へと駒を進めているため、鬼道ら帝国学園にも気合が入っている様子だ。
　無名の推薦校とはいえ、全国大会に出場している世宇子中、油断はならない。

「…ッ――なんて、ことを…！」

　はずだったのだ。
　帝国学園は開始早々に、世宇子中に10点を取られたと同時に世宇子の繰り出す必殺技に次々と倒されて行った。観客も悲鳴一つ上げられない状態で、試合は前半の途中で続行不可能となり世宇子が二回戦へと駒を進めた。

　仲間たちが担架で運ばれて行くのを呆然と見つめ、立ち尽くす鬼道。
　帝国が完敗したことは、たちまちニュースになった。

「見に来てくれたんだね、ありがとう」
「……」

　帰ろうとしたAを呼び止めたのは、アフロディだった。

「君に試合を見てもらえるなんて、嬉しいよ」
「…勘違いしないで。私は雷門の偵察のために来ている、貴方を見に来たわけじゃない」
「そっか。残念だな」

　笑顔で言うアフロディは、言葉とは裏腹にまったく残念そうではない。

「どうだったかな、試合」
「酷いものだね。ファールにならないようにしているあたりタチが悪い」
「ふふっ、どうやら君には相当嫌われてしまったようだね、僕は」
「貴方が嫌いなわけじゃない。…やり方が気に食わないだけ」

　Aはそれだけ言い残しその場を去ろうとする。だがそれをアフロディが腕を掴んで止めた。

「まだ何か？」
「…凛としている君は、とても好ましい」
「はあ…」
「けれど雷門中で見せる表情が本性であれば、僕は是非とも見てみたい」

　生前アフロディも推していたAにとって顔を近づけられた行為は心中穏やかではないので、辞めてほしくて仕方がない。今にでも綺麗な顔の造形美に鼻血が出るのではないかと、心臓バックバクである。

「…そんなこと言うなら、せいぜい〝飲むもの〟を変えることだね」
「！……君、まさか…」

　アフロディが動揺した一瞬に手を振りほどいて、距離を取ったAは「じゃあね」と手を振ってフロンティアスタジアムを後にした。
　雷門に戻ると円堂が帝国学園へ向かったと聞いた。今頃鬼道の家で話をしているのだろう。